止まらないドライバー不足

もとより、ドライバー不足には歯止めがかからない。鉄道貨物協会によると、全産業におけるトラックドライバー数をみると、2017年度は10.3万人の不足だった。これが2025年度には20.8万人、2030年度には27.8万人と増えると予測している。一方で、EC(電子商取引)市場が急成長したことにより、宅配便の取り扱い個数は急増しているのだ。ドライバーは減っているのに、需要は増している。このままでは、物流環境は悪化するばかりである。

「2024年問題」が、これに拍車をかけるのは必至だ。九州トラック協会によると、費用対効果が悪い農畜産物は、すでに輸送するのを真っ先に断られる対象になっているという。
迫りくる困難への対処は一通りではない。

たとえば、農産物を生産してから在庫管理して、配送や販売、消費に至るまでの一連の流れを適切な低温度帯に保つ「コールドチェーン」の構築だ。現状、少なくない産地が予冷せずに輸送している。予冷庫を備えた物流拠点を整備すれば、今まで以上に鮮度を保持できるので、輸送にかかる日数を延ばせる。

2024年には関東で「あまおう」が食べられなくなる?  人権侵害、ブラック労働のつけがきた…日本の農業が直面する危機_2

「2024年問題」に対して、一つで解決できる方法などない

コールドチェーンについては、卸売市場も取り組むべき課題だ。産地で予冷して、冷蔵車で輸送されてきたのに、卸売市場で保冷する施設が整っていないことが目立つ。

段ボールなどを載せる荷役台「パレット」や、一トン程度の穀物を収容できる袋材「フレキシブルコンテナ(フレコン)」といった、効率的に輸送できる資材の活用も無視できない。現状は、段ボールを一つずつトラックに載せたり、コメについては30キログラムという小袋を使ったりしているから手間がかかる。

加えて、流通業者が身近な産地と提携することで、輸送にかける時間や燃料代を抑えるという決断もありうる。

「2024年問題」に対して、一つで解決できる方法などない。一方で、サプライチェーンを見渡せば、取り組むべき課題は数多い。関係者を挙げて、できることを積み重ねることが欠かせない。