自分の死後もプライバシーを守るために
——ただプライバシーの関係上、「生前にログインパスコードを伝えるは嫌だ」という方も多いですよね。その場合は、どう対処すればよいでしょうか?
生前にスマホのパスワードを知られたくないなら、「亡くなったときに伝わるような仕組み」を作っておきましょう。もちろんエンディングノートに記しておくという手もありますが、ほかの手段でも構いません。
エンディングノートの場合、たとえば「家族との想い出を書きましょう」といったパートで何を書こうか困ってしまい、なかなか作成が進まないこともあるので。
——「亡くなったときに伝わるような仕組み」とは、具体的にどのようなものでしょう?
あまり難しく考えず、まずは遺族の方がわかるように、スマホのログインパスワードを簡単なメモで残しておきましょう。遺族が見る可能性が高いであろう財布や通帳に挟んでおく、一人暮らしであれば冷蔵庫のドアに貼っておく等の方法で、万が一の際でもパスワードが容易に伝わるような仕組みを作っておくとよいでしょう。
また、たとえば保険に加入しているならば、その保険証券が自宅にあるはずなので、その保険証券の中に、ログインパスワード等を書いたメモを入れておくという方法も考えられます。
なお、専属の担当者がいるような場合には、その担当者に対して、「保険証券の中にログインパスワード等を書いたメモが入っているから、万が一の際に家族に伝えてほしい」とお願いしておくことも考えられます。
——「自分の死後であっても、スマホの中は見られたくない」といった場合は、どうすればよいでしょうか?
その場合は、生前に「遺族にとって最低限必要な情報」をまとめて残しておきましょう。
たとえば証券なら、取引している会社名さえわかれば、遺族は何とかなるものです。「どのような銘柄に投資しているのか」といった詳細は省いて、会社名だけ記しておく。そういった最低限のことをノートやメモにまとめておけば、遺族はそれを確認するだけで済み、故人としてもスマホ内を漁られる可能性が低くなります。
そして、そのノート等からPCなどに誘導する場合には、遺族用のフォルダをPC上に用意しておいて、そこまでの導線を記載しておくとわかりやすいです。あらかじめ「PCに入って、このフォルダを開いて」と指示しておけば、わざわざほかのフォルダまで探られる心配もグッと減ります。
なお、「指示したフォルダ以外は見ないでほしい」と具体的に指示をしておくことも重要です(生前から、このような指示をしても疑われないような人間関係を築いていくことも大事です)。