【現地取材】バルサ、アーセナル、チェルシー…ビッグクラブが続々と資金を投入。欧州女子サッカー「爆発的人気」の背景にあるしたたかなビジネス戦略

試合前から客を徹底的に楽しませるカンプ・ノウ

近年の欧州における女子サッカー人気の爆発的な高まりの実態を探るべく、女子チャンピオンズリーグ(CL)準決勝を国をまたぎながら10日間で4試合観戦した弾丸取材。ファーストレグを終え、ヴォルフスブルクから格安航空会社で向かったのはバルセロナだった。

◎バルセロナ―チェルシー(4月27日 カンプ・ノウ@バルセロナ)

カンプ・ノウの様相は、ここまで見てきた女子CL準決勝の2戦とすべてが違っていた。まさに祭りなのだ。試合開始の2時間以上前から隣接するスナックスタンドやカフェやキックターゲットゲームやオフィシャルグッズショップに人があふれているだけでなく、スタジアム正面ゲートすぐ外の歩道も大混雑している。

やがて彼ら、彼女らは車道上をも埋め尽くし、一帯は通行止め状態になってしまった。にもかかわらず、出動している警官たちはそれを静観している。何が起こるのかと眺めていると、向こう側からバルサの選手たちを乗せたチームバスがやって来たのだ。

すると人々は一斉に旗を振り、叫び、チャントを歌い、腕を振り上げ、一部の者は発煙筒まで焚いて、スタジアム入りするバスを出迎えた。

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カンプ・ノウに到着したチームバスに『車道』上から大声援を送るバルサファン
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これが、9万人超の観客を集めることができるバルサ女子チームの愛されぶりなのだ。

いざゲートが開くと、正面入り口前の広場ではミニブラスバンドがバルサの応援歌や『君の瞳に恋してる』『Viva La Vida』『Bad Romance』といった新旧のヒット曲を奏で、開門を待ちわびていたサポーターを歓待。

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スタジアムが開門すると、ノリのいいミニブラスバンドの音楽が出迎えてくれた。エース選手プテジャスの着ぐるみ(人が入っているのは下半分だけ)は、伝統のメルセ祭名物の巨大人形『ヒガンテス』を模したもの

そこから少し離れた一角には、バルサのエンブレムをかたどった枠で記念写真を撮れるスペースも設けられている。

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バルサのエンブレムをかたどった枠の中で記念撮影ができるコーナー

スタンフォード・ブリッジやフォルクスワーゲン・アレーナでは、「試合そのものが最大のエンターテインメントだ」との心意気なのか、アトラクションや見世物の類いは一切提供されない質実剛健ぶりだった。ところがカンプ・ノウは対照的に、来場した客を試合前から様々な仕掛けで徹底的に楽しませてくれるのだ。これはクラブ規模の差によるものなのか、あるいはお国柄の違いなのか……。