男女選手を均等にプッシュする欧州ビッグクラブ

◎アーセナル―ヴォルフスブルク(5月1日 エミレーツ・スタジアム@ロンドン)

前日の4月30日、交通手段の確認のため試合と同じ時間帯にスタジアムの下見へ出向いた。まず目に飛び込んできたのは、正面入り口の上にあるアーセナルの歴代名選手たちが描かれた巨大な壁画だった。

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エミレーツ・スタジアム正面入り口に描かれた巨大壁画

文字通りスタジアムの顔になっているこの壁画で注目すべき点。それは、男女選手が均等に描かれていることだ。右にベルカンプら男子レジェンドの一群が、左にケリー・スミスら女子レジェンドの一群がいて向かい合っている。

こうした配慮は、今回訪れた女子CL準決勝の他会場でも見られた。
チェルシーのオフィシャルグッズショップの店内には男子のみならず女子の人気選手の写真パネルも飾られ、ヴォルフスブルクに至ってはオフィシャルグッズショップの入り口横という一等地を占めていたのは女子チームの選手のパネルだった。

バルセロナではカンプ・ノウの正面ゲート上に男女スター選手の大写真が同人数ずつ掲出されていたし、スタジアム前にあるチームスポンサーの自動車ブランドの広告看板に登場しているのも、男女の主力選手たちだ。

男女選手を均等にプッシュする姿勢が、現在の欧州強豪クラブでは徹底されているのである。

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カンプ・ノウの正面入り口には、スター選手の写真が男女同数掲出されていた
カンプ・ノウ前にあるチームスポンサーの広告看板も、この通り
カンプ・ノウ前にあるチームスポンサーの広告看板も、この通り

そしてこの日の夜、アーセナルの公式サイト上で、ヴォルフスブルク戦のチケットがソールドアウトとなったことが発表された。前売り段階で6万人超が購入したのだという。女子の試合でエミレーツ・スタジアムが札止めになるのは史上初とのこと。

双方のチーム力が拮抗している上、セカンドレグの勝敗がそのまま決勝進出の可否に結び付くだけに、「自分たちが現場でサポートしてやらなければ」の気持ちが働いたのだろうか(カンプ・ノウが満員にならなかったのと逆の心理というわけだ)。