「新聞や雑誌を破りながら読む」「スカスカ本棚」…
奥野さん直伝の「ちゃんと読む」方法
――「ちゃんと読む」ことにはさまざまな工程や方法がありますが、まずは何から始めたらよいですか?
「ちゃんと読む」ことの全体像を簡単にいうと、
①さまざまなものに触れる
②いい文章に身をさらす
③内容をしっかり咀嚼する
という3ステップで、これを反復していきます。とてもシンプルです。
まずは「ちゃんと寝る」を実践してほしいです。いきなり生活指導みたいで恐縮ですが、睡眠不足は人間のパフォーマンスが低下する大きな原因となります。だからまずは睡眠を優先してください。
次に「毎日5分だけ文章を味わう」。短時間からでよいので「読むこと」にチャレンジしてみましょう。本や雑誌を持ち歩くだけでも、文章に触れるハードルを下げることができます。
好きな文章に出会うためには、いろいろな文章に触れることが大事。だから、どんどん読んで、本当に「いい」と思う文章とだけつき合うようにしましょう 。
そして「ちゃんと読む」ことを習慣にするためには、手や体を動かすのがおすすめです。じっと座って修行のように読むよりも面白くなるはずです。
新聞や雑誌を破りながら読んだり、本にマーカーを塗り重ねてカスタムしたりしているうちに、だんだんと「有用なことをしているな」という自己満足感も得られるようになります。
面倒くさいし効率も悪いんですが、続けていくうちに「基礎練」ならではの面白さや気持ちよさが感じられるんです。ランニングや筋トレと似ているかもしれません。
――読んだ内容を整理し、自分のものにするためには、どんな方法があるのでしょうか。ひとつご紹介いただけますか?
本書ではたくさんの文章を読むための「収集」や「拡散」の方法を紹介していますが、そうやって集めた文章を全部保管しておく必要はありません。むしろ、どんどん手離して、必要な文章だけを残しておくほうが、読みたいものがいつでも手に取れ、どんどん「自分のもの」になっていきます。
そのために私が実践しているのが「スカスカ本棚」です。本棚は脳内と連携していると思います。だから本棚には「これから読む本」「今後も再読する本」「よく参照する本」だけを置き、その中身を定期的に入れ換えて、常に必要なものだけを入れておくのです。
本棚をスカスカにしておけば、本の入れ換えも楽にできるし、「このテーマの本をまとめて置いておきたいな」と思ったときにも簡単に整理できます。本棚は放っておくとだんだん見なくなるんですよね。だから私は電気シェーバーを本棚に置いて、ヒゲを剃りながら「本棚チェック」をしています。