女王さまから悪女、惨めな女まで
名優を多く輩出しているイギリスの王立演劇学校(RADA)はよく知られているけれど、イギリスの影響を強く受けているオーストラリアにも、オーストラリア国立演劇学院(NIDA)という演劇学校があります。
ケイト・ブランシェットは、NIDAの出身。私は現地で授業を見学させていただいたことがありますが、非常にしっかりしたカリキュラムの学校でした。校内にはメル・ギブソンをはじめ卒業生の大きな写真が飾ってあって、もちろん彼女の写真もありました。
ケイト・ブランシェットの出演作はバラエティ豊か。
『ロード・オブ・ザ・リング』(2001〜)シリーズや『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』(2008)『マイティ・ソー バトルロイヤル』(2017)のようないわゆる娯楽映画もあれば、『アイム・ノット・ゼア』(2007)や『ブルージャスミン』(2013)『キャロル』(2015)『ナイトメア・アリー』(2021)のようなアーティスティックな作品にも出演する。
『エリザベス』(1998)と『エリザベス:ゴールデン・エイジ』(2007)と、2度エリザベス1世を演じている。
個人的に好きなのは『ナイトメア・アリー』(2021)。相当な悪女を演じましたけど、キリッとした冷酷な顔が似合うし、彼女が演じると、どんな役もビリーバブルなのよね。
女王さまから悪女、さらには惨めな女までなんでもござれ。役柄の広さと存在感には驚かされます。もう、彼女には賞賛しか出ません(笑)。
また、最近作の『ター!』(2022)の熱演には圧倒されました。ほとんど全編、出ずっぱりで、しかも極度に知的で複雑なキャラクターを見事に演じきっている。彼女の存在なくしては成立しえない、と言い切っていい作品です。