人見知りの克服は自己理解が大切
人見知りを克服するのは、実はなかなか難しいことです。
これまで、「人見知りだから」と予防線を張ったり、飲み会の2時間くらいなら、仲間の輪に入れなくてもなんとかやり過ごしたりしてきた経験があるために、人付き合いで緊張を感じてどうにかしたいと思う一方で、人見知りでもなんとかやれてきたという思いにもつながります。
困っているようで克服しなくてはやっていけないとまでには至りづらい心理状態です。
また克服するためには、これまでの人づきあいのやり方を根本的に見直すことになるので、とてもハードルが高いと思います。
まず、自分はどの人見知りタイプで、知らず知らずのうちにやってしまうことや感じてしまうことはどんなことなのかを知っておくことが大切です。
無意識に緊張して人から距離をとってしまったり、「人見知りだから」と予防線を張ってしまったりしているのか、自分は緊張するタイプだからと自覚して自らグループの輪に入らないようにしているのかでは大きく違います。
自分の人見知りタイプを理解して、自分ってこういう風に人付き合いしているなとわかることで、自分を許せるようになるきっかけになります。すると、気持ちも楽になり、人見知りを乗り越えようというモチベーションもわきやすくなります。
少し自分のことを引いて見るようにしてみましょう。
あいかわらず人と距離をとってしまうけど、それが自分なんだと自己理解をしたうえで、このままやり過ごすのか、克服するのか、全ては自分で選んでいくという自己統制をもつことが大切です。
そのうえで、克服してみようと思ったら、以下の方法をやってみてください。
マウンティングタイプの人は、知らず知らずのうちに人に点数をつけたり、人を品定めしたりすることをやめましょう。
人に点数をつけることが実は自分を苦しめていることに気づいてください。
また「私は人見知りだから」「コミュ障だから」と予防線を張ることは、人から「そんなことないよ」「全然話しやすいよ」と言われることで、反面自分にも点数をつけて、他者と交流し親しくなるのではなく、自分の評価を守り、自分と交流するだけで孤独感を募らせていることに気づきましょう。
「人見知りだから」と言う自分に気づいたら、やめるようにして、そうすることでなんだかわからない自分が勝手に築いた素晴らしい自分を追求しないようにしましょう。
「深まらない社交的タイプ」の人は、長く時間をかけて関係を築くことに耐えていきましょう。
なかなか環境に溶け込めず寂しい思いは募るでしょうが、最終的に輪に溶け込んでいくことを目標にし、自分が苦しくない距離感を大切にすることを自分で自分に許しましょう。
自己愛が低く、恥に過敏な「人の視線恐怖タイプ」や「自信喪失タイプ」の人は、難しいとは思いますが、緊張するのは当たり前と思うようにしたり、自分が言ったことや、やったことに対して後から振り返って反省会をすることをやめましょう。
どうしても反省会をしたいなら、「緊張して頭が真っ白になったけど、いつもより5分だけ長く相手と話せたぞ」とできなかったことプラスできたことのセットで反省会を行ってみましょう。
人見知りの克服方法は心理的コストが高いので、無理をせず、まずは自分の人見知りタイプや自己理解を深めるようにしてください。自分のことを引いて見ることができるだけでも、人見知りの克服の一歩になります。
それでも、よい開き直りができず、自分は最悪だとか、一人で向き合うのは辛い、という人は、専門医のアドバイスを受けましょう。
取材・文/百田なつき