バイアグラの効用は平均2時間…愛の持続時間は?
1998年3月、バイアグラはFDAの認可を受けた。これでようやく弾みがついた。あとは、どうやって売り込みをかけるかについて、社の営業チームと話をするだけだ……。
ところが、営業マンたちは難色を示した。医師とペニスの話をするのは気まずいというのが理由だった。そこでルーニーは、営業マンたちの抵抗感をなくすために、販売会議で彼らに「勃起!」と大声で5回叫ぶように指導するはめになった。
イレクション!イレクション!イレクション!イレクション!イレクション!
発売日が近づくにつれ、ファイザーは物笑いの種にされると誰もが思った。
しかしこの話の結末はすでにご存知だろう。バイアグラは空前の大ヒットをおさめ、社会現象を巻き起こし、世界各国の深夜番組の司会者に笑いのネタを提供した。ほどなく、1日に万枚の処方箋が書かれていると言われるようになり、プロザックの発売時を上回る反響だった。ほんの数日で、ファイザー社の株価は2倍になった。
この薬は青色だったが、ふたを開けて見れば、まるでトナカイ「ルドルフ」の赤鼻のようだった。嫌われ者だったが、結果として救世主になった。誰も信じていなかった薬が、誰もが求める薬になったのだ。
セックス、愛、結婚にこと関すると、すべてが複雑で、単純明解なものは何もない。小さな青い錠剤はたしかにすべてを克服したかもしれないが、愛はどうだろう?
バイアグラの効果が持続するのは平均2時間だ。愛はどのくらい持続するのだろう?