理系・文系の区分けは不要。理系の知識やノウハウを役立てて
——ビジネスパーソンが「架け橋」になるためにできることは、他にもありますか?
研究者とオフレコのコミュニケーションを取ることもおすすめです。
最近はオンライン会議が増えた分、会議外でのオフレコな会話がしにくい環境になりました。またオンライン会議は録画されることが多いので、そこで紹介できるのは公開してもよい画像情報のみになりがちです。だからこそ「まだ正式には出せないけれど、実は最新の話」をしにくいのではないかと思っています。
研究者は忙しそうに見られがちなようですが、少なくとも私はそこまで忙しくありません(笑)……と言ってしまうと、色々な方に叱られてしまうかもしれませんが。私はオフレコの会話の時間をとても大切にしています。研究者は基本的に情報を集め、共有したい職業だと思うので、オフレコの会話を求めているかもしれないです。個別にアプローチしてみてはどうでしょうか。
——最後に、この記事の読者に向けてメッセージをお願いします。
研究者という仕事をしていると「理系は賢いからいいよね」「文系は理系の考えが理解できない」などと言われることがあります。しかし、理系だから賢いわけではありません。大学受験によって「文系・理系」に分けられたことが、社会に出てからも双方の間に壁を作っていると感じます。
しかしながら、理系の研究者が持つ知識は、文系出身者の多い企業でも十分に役立つと思います。最近は、わかりやすく書かれた理系の本が書店で多く並ぶようになりました。今回の『なぜ君は、科学的に考えられないんだ?』も、理系の専門書と比較してかなり軽い内容になっています。
通常のビジネス書や小説では得られないちょっとした「刺激」がほしい方は、ぜひ手に取ってみてください。そして日々の仕事に活かしていただけたら嬉しいです。
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