理系・文系の区分けは不要。理系の知識やノウハウを役立てて     

——ビジネスパーソンが「架け橋」になるためにできることは、他にもありますか?

研究者とオフレコのコミュニケーションを取ることもおすすめです。

最近はオンライン会議が増えた分、会議外でのオフレコな会話がしにくい環境になりました。またオンライン会議は録画されることが多いので、そこで紹介できるのは公開してもよい画像情報のみになりがちです。だからこそ「まだ正式には出せないけれど、実は最新の話」をしにくいのではないかと思っています。

研究者は忙しそうに見られがちなようですが、少なくとも私はそこまで忙しくありません(笑)……と言ってしまうと、色々な方に叱られてしまうかもしれませんが。私はオフレコの会話の時間をとても大切にしています。研究者は基本的に情報を集め、共有したい職業だと思うので、オフレコの会話を求めているかもしれないです。個別にアプローチしてみてはどうでしょうか。

——最後に、この記事の読者に向けてメッセージをお願いします。

研究者という仕事をしていると「理系は賢いからいいよね」「文系は理系の考えが理解できない」などと言われることがあります。しかし、理系だから賢いわけではありません。大学受験によって「文系・理系」に分けられたことが、社会に出てからも双方の間に壁を作っていると感じます。

しかしながら、理系の研究者が持つ知識は、文系出身者の多い企業でも十分に役立つと思います。最近は、わかりやすく書かれた理系の本が書店で多く並ぶようになりました。今回の『なぜ君は、科学的に考えられないんだ?』も、理系の専門書と比較してかなり軽い内容になっています。

通常のビジネス書や小説では得られないちょっとした「刺激」がほしい方は、ぜひ手に取ってみてください。そして日々の仕事に活かしていただけたら嬉しいです。

#2「『信頼性が大きい』『温度が熱い』…この間違いに気づけないあなたのプレゼンが信用されない理由とは」はこちらから

『ビジネス小説 なぜ君は、科学的に考えられないんだ?』(クロスメディア・パブリッシング)
松尾佑一 
「理系は賢いからいいよね」は本当? 文系サラリーマンの情報リサーチやプレゼンにも役立つ理系研究者の知識とは_5
2023/3/2
1848円(税込み)
272ページ
ISBN:978-4295408048
●「なんとなく」で判断して損しないための、「論理的」な考え方が身につく!

新しいビジネスや新商品の成否を「なんとなく」の印象で判断してしまう。効果が不明確な施策も、これまでもそうだったからと「なんとなく」続ける。その一方で、新しいチャレンジは「なんとなく」リスクがありそうだからやめておく。

ビジネスの現場では、こういった「なんとなく」の判断が少なくありません。ですがその結果、損失を出してしまったり、好機を逃してしまったりしては、もったいないとしか言えません。

本書は、そんな「なんとなく」の判断を減らし、データや事実に基づいて「科学的」に思考できるようになるための本です。社会人3年目の「山田咲良」と、変人教授「班目」との共同プロジェクトをとおして、冷静で論理的な「科学的な考え方」がわかりやすく学べます。
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