自らプロデュースに乗り出す女優たち

紅一点となったシャーリーズ・セロンは南アフリカ共和国の出身で、モデルを経て、女優に転向した。『ディアボロス 悪魔の扉』(1997)と『スウィート・ノベンバー』(2001)でキアヌ・リーヴスと共演していたから、「ロードショー」読者のあいだではよく知られていたものの、ブロンドのセクシー美女というイメージが強かった。だが、『モンスター』(2003)で実在の連続殺人鬼を演じるために体重を増やして肉体改造を行い、卓抜した演技力を披露。アカデミー主演女優賞を受賞した。

女性の表紙は1年間で1回のみ! 女優主導だった「ロードショー」の歴史が完全にひっくり返ったのは、ハリウッドの体質の変容を反映していたから!?_2
完璧な美貌と明晰な頭脳、鉄の意志と実行力をあわせもつシャーリーズは新世紀のアイコンに
©ロードショー2005年4月号/集英社
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セロンがすごいのは、『モンスター』は誰かにオファーされたのではなく、プロデューサーとして企画開発を行っていたことだ。やりたい役柄がないと嘆いているよりも、自ら作り出す道を選んだわけだ。アカデミー主演女優賞受賞で女優としてのステージをあげた彼女のもとにはオファーが殺到。それと並行して、『アトミック・ブロンド』(2017)『スキャンダル』(2019)『オールド・ガード』(2020)などの主演作を自らプロデュースしていく。

リース・ウィザースプーン、ニコール・キッドマン、マーゴット・ロビーといった人気女優たちも同様にプロデューサー業に進出。単なる女優としてだと、作品に関わる期間はとても短い。リハーサルと撮影だけで、あとは宣伝で稼働する程度だ。だが、プロデューサーになると原作やキャストの選定から、プロモーションまで製作全体に関わることになる。長期にわたって拘束されることになるが、それでも女優たちがプロデューサー業に進出するのは、作品に自らの影響力を及ぼすことができるからだ。おかげで、女性が主人公の物語が映画やドラマで生み出されるようになるのだ。


◆表紙リスト◆
1月号/ジョニー・デップ 2月号/オーランド・ブルーム 3月号/ジョニー・デップ 4月号/シャーリーズ・セロン 5月号/レオナルド・ディカプリオ 6月号/オーランド・ブルーム 7月号/ユアン・マクレガー&ヘイデン・クリステンセン(後者のみ初登場) 8月号/ヘイデン・クリステンセン 9月号/オーランド・ブルーム 10月号/ジョニー・デップ 11月号/オーランド・ブルーム 12月号/ダニエル・ラドクリフ
表紙クレジット ©ロードショー2005年/集英社