「親父と同じ」への抵抗感
しかし、ここで次のように感じた人はいないだろうか。
「7人に1人というけれど、自分の周りでは見かけたことがないぞ」と。
その理由は年齢にある。実は、ブリーフの着用者の多くを占めるのは、シニア層なのだ。また、小学生以下の子どもにも一定の支持がある(実際に買い与えているのは親だが)。
逆にいえば、それ以外の世代ではブリーフの着用率は低い。15%という数字はあくまでも市場全体の数字で、実際には世代によってかなり偏りが見られるのだ。
では、なぜそのような偏りが生まれるのだろうか。
大きな理由は、前述した時代の変化だ。戦後に入ってきたブリーフは当時、最新のファッショントレンドであり、若者はふんどしやさるまたからブリーフに乗り換えた。当時の若者は今シニア層になっており、そのままブリーフを穿き続けていると予想できる。
一方、1980年代前後に青春を過ごした層は、ブリーフをどこかのタイミングで“卒業”し始めた世代といえる。
「特に思春期の子ども世代では、親世代が穿いているブリーフに対して、“親父と同じなんてダサくて嫌だ”という心理が働くこともあるのかもしれません」(武安氏)
そして、同じことがその後も起きたわけだ。2000年以降は親世代が穿いているトランクスに対して「ダサい」と感じる若者層が一定数おり、海外から流入した新たなスタイルの下着であるボクサーパンツに流れたのである。
この時期は、グンゼが「BODY WILD」ブランドでボクサーパンツを発売した1998年とも一致する。下着メーカーが次世代の新しいパンツスタイルを提案し、そして、そこに新しい価値を感じる若者層が関与し始めることで、トレンドが移り変わっていったわけだ。