取材記事は「取材した」と明記してほしい

ゼミ生2人の分類が異なった記事の例を挙げよう。

まず、スポーツ記事でよく見る「会場が大熱狂に包まれた」「ファン総立ち」といったもの。現地で取材しているような記述がありながらも、写真や動画は他社配信の素材を使用している。

テレビ中継を見て書いた「こたつ記事」の可能性が捨てきれない。

次に、プレスリリースの発表をもとにした記事だ。「A社は主力商品の値上げを発表した」と記載があるが、その情報源は示されていない。

記者会見の場での発表をもとに書いたのか、A社のホームページの情報をもとに書いたのか不透明だ。

そして、国際記事で文中に例えば「キーウ=△△」などと現地駐在の記者の署名があるものの、内容は「国営〇〇通信によると」と現地報道を日本語訳にしただけのものだ。

また、現地にいるものの、取材・検証はしていない可能性もある。

一連の調査の結果、藤代ゼミでは「こたつ記事を確実に見分けることは難しい」という結論に至ったのだ。

3年の合田優希さんは調査を終え、情報の送り手であるメディア側へこのような提案をする。

「まず、記事の署名を徹底してほしいです。同じ媒体でも、署名がある記事とない記事があり、署名がないと誰がどのように書いた記事か判断ができませんでした。

現地へ取材に行ったのであれば、取材に行ったと読み取れる工夫をしていただけると助かるのかなと思いました。

写真も同じで、『現地で撮影した』と明記してもらえると受け取れる情報が増えます」

“ネットで話題”は本当に話題? フェイクニュースの温床になる「こたつ記事」を法政大学ゼミ生が調査。「記者も正しい情報なのかわからないまま発信されている」_3