性暴力の損害賠償請求はとっくに時効が成立も…
――ご両親には打ち明けたんですか?
話しました。でも、『担任の先生が居残りさせるのはオマエの悪いところを直そうとしているんだ』と言われ、相手にされませんでした。股間を触られているとも言ったんですが、両親とも教員がまさかそんなことをするとは考えてなかったみたいで、本気にされませんでした。
――精神状態は大丈夫でした?
対人恐怖がすごかったです。人と接するとビクッとしちゃうんですよ。それで誰とも話せなくなり、バレー部は退部、学校も途中から行けなくなってしまいました。
そんな精神状態は大人になってからも続き、自分は価値のない人間だと悩み、自殺を考えたこともありました、精神科で処方してもらう精神安定剤や睡眠導入剤なども手放せなくなりました。
――そんなつらい状況でよく裁判を起こそうと奮い立つことができましたね。
いろいろ考えているうちに、自分は悪くない、自分は性被害者なんだと気づいたんです。その一方で加害側の先生は懲戒免職もされずに教員を続け、退職金までもらっている。それでまずは松戸市教育委員会と千葉県教育委員会にその退職金を加害者に返納させるよう求めたんです。
新聞社やネットメディアにも同じメールを500通くらい送りました。ただ、教育委員会に動く気配はないし、メールも返信があったのは10通ほどでほとんど反応がない。それで下着の返還請求を思い立ったんです。
――下着?
職員室で「助けて!」と泣きじゃくった直後、先生に校舎の昇降口で下着を脱がされたんです。しかもゴムの部分にカタカナで「クリス」と書くように強要されました。そして、『この下着があるかぎり、おまえはオレの言いなりになるしかない』と脅かされた。目的は私の口封じでした。
性暴力を受けたことに対する損害賠償請求はとっくに時効が成立しています。でも、所有権には消滅時効はかからないと大学(法学部)の授業で学んだことを思い出し、下着を返せと訴えることにしたんです。
裁判では下着を奪われた経緯についての事実認定が行われますから、その過程で私の性被害――キスやフェラチオを強要されたことが認定される可能性が高いと考えました。