「猫は魚好き」のイメージは日本だけ?

猫の魚好きは日本各地に残る猫伝承の中にも垣間見られます。みなが貧しい生活を送るなかで、毎日魚を与えられてかわいがられた猫が、和尚さんのお寺を繁盛させたり、生き別れの父子を再会させたりと、その恩に報いるという伝承は各地に残っています。反対に、魚をぬすむ泥棒猫のエピソードも数多くあり、日本では「猫=魚好き」というイメージが古くから根付いていることが伺えます。

このように根付いてきたイメージもあって、お店に並ぶ国産のキャットフードには、チキンやビーフなどの肉味以上に、マグロやカツオ、タイなど魚味の商品が目立ちます。ところが、海外のキャットフードは肉味が主流で、日本以外では猫が魚を食べるイメージにあまりピンとこないようです。これはいったいどうしてなのでしょうか。

猫まんまにカリカリ、かつおぶし…猫は本当にお魚好き? 猫ごはんにまつわる意外すぎる3トリビア_4
©︎深川直美
すべての画像を見る

実は、日本に根付いている「猫=魚好き」というイメージは、古くからの日本の魚食文化に影響を受けたからだといわれています。日本の猫が爆発的に増えた江戸時代まで、人々は仏教の五戒の一つである「不殺生戒(殺生の禁止)」から肉食が禁止され、タンパク質を魚から得ていました。人間と一緒に暮らしていれば、その食の好みは大きく影響するもの。それゆえ、日本の猫は魚好きとなったと考えられています。一方、古くから狩猟文化が根付いていた西欧諸国では、猫はもちろん犬も肉食だと信じる人が多く、獣の肉こそが「自然」な食べ物だと考えられていました。

つまり、「猫=魚好き」というイメージは日本人の食生活に猫がなじんだ結果であって、海外の方にはこのイメージが理解出来ないということのようです。

猫はなぜごはんに飽きるのか?
猫ごはん博士が教える「おいしさ」の秘密
岩﨑永治
猫まんまにカリカリ、かつおぶし…猫は本当にお魚好き? 猫ごはんにまつわる意外すぎる3トリビア_5
2023年2月22日発売
1760円(税込)
四六判/176ページ
ISBN:978-4-8342-5362-7
本書では、ペットフードメーカーで日々猫の栄養学を研究する「猫ごはん博士」である著者ならではの視点で、猫の感じる「おいしさ」について丁寧に解説していきます。
「肉食」である猫ならではの食性から、食事以外の「ハンター」としての猫の習性まで、様々な面から猫について理解を深めていくことで、猫と今以上に良い関係を築いていけることでしょう。

また、「猫が思うようにごはんを食べてくれない」、この問題を解決するためには、ご自宅の猫がどのようなタイプなのかを把握することが大切です。
そのため、本書では巻頭に猫ごはんのお悩み別にタイプ分けを行う診断チャートを掲載しています。
ご飯を食べてくれない原因が何なのかを把握することで、一歩お悩みの解決に近付くはずです。

さらに、本書の巻頭と巻末には「ネコロポリス計画定例集会」の著者であり本書のカバーイラストも手掛けている、深川直美氏による描き下ろし猫マンガを掲載。
各章末にはくすっと笑える一コママンガも──。楽しく読める一冊になっています。
amazon 楽天ブックス honto セブンネット TSUTAYA 紀伊国屋書店 ヨドバシ・ドット・コム Honya Club HMV&BOOKS e-hon