近年の特徴はSUVブーム&アウトレットでの伸長

一方、コロナ禍前後による消費者志向については、大きく目立った変化はなかったそうだ。

リベンジ消費の需要が顕著になったわけでもなく、あくまでメルセデスの中でも長年愛されてきた「メルセデス・マイバッハ」や「メルセデスAMG」、「Gクラス」などのハイエンドモデルが販売全体の約25%を占めているという。

「ハイエンドモデルの安定的な需要のほか、2015年頃からSUVが若者の間で人気が高まってきていて、今では販売全体の約40%がSUVという割合になっています。そして、コロナ禍でキャンプ需要が喚起されたのを機に、SUVを訴求する『OPEN NEW DOORS』というイベントを開催し、アウトドアライフに、メルセデスの魅力を溶け込ませた体験づくりを行いました」

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Cクラスの車格を備えたスポーティなデザインのGLC

さらにメルセデスは、正規販売店以外にアウトレットにも出店しており、「コロナ禍でも中古車の販売台数は堅調に推移している」と長谷川氏は言う。

「家族でアウトレットに買い物へ出かけた際、お父さまが『メルセデスのクルマを見たい』とアウトレットの店舗を待ち合わせ場所にすることも多いんです。また、店舗内にはライフスタイル系のグッズも置いてあるので、お子さまが商品に関心を示したりと、集客効果が期待できる販路先としてアウトレットは有用だと捉えています」

コロナ禍でテレワークが進み、自宅で過ごす時間が増えたことから、SNSやデジタル広告をきっかけに、ブランドに興味を持つようになっているとのこと。

「今の時代、デジタルでなんでも情報収集できるので、お客様がある程度の知識を持って状態でディーラーに来店されるようになっています。そのため、販売店のスタッフも専門知識や接客のトレーニングが重要になっている。クルマの品質そのものと、販売店のセールスマンのホスピタリティや信頼性の高さが肝になると考えています」