「ラップの話」がずっとしたかった

様々な表現に対して「考察」することに興味があったというR-指定。

「もともと好きだった映画やドラマを読み解くのと同じように、ラップについても考察してたんですけど、そのことを一緒に話せる仲間がおったことで、ラップに対する理解度や解像度も更に上がって、よりラップにのめり込んでいったんですよね」

そしてMCバトルの全国大会である「ULTIMATE MC BATTLE」にて3連覇を果たし、並行してCreepy Nutsを結成。テレビ朝日『フリースタイルダンジョン』には放送開始から、チャレンジャーの前に立ちはだかるモンスター(後期はラスボス)として登場するなど、活躍の場を広げていく。

「Creepy Nutsとして活動を始めてからも、梅田(サイファー)でやってたみたいに、ラップの話ができる場がずっと欲しいと思ってたんですよ。それにヒップホップというと、流行やファッション性、ゴシップの方がよく取り上げられがちなことも、自分にはもどかしかったし、もっと根本的な面白さを話したいという気持ちもあって。

それで始まったのがオールナイトニッポンの「日本語ラップ紹介コーナー」。開始当初は、まだヒップホップが今ほど広まってなかったから、おこがましいようですけど、コーナーを通してリスナーやスタッフにヒップホップの理解度を高めて欲しいなと。そしてより深く、じっくり時間をかけて話せる場として『Rの異常な愛情』を始めたんですよね」

『Rの異常な愛情』は2022年11月までに12回の開催を重ね、チケットは即ソールドアウトする人気イベントとなっている。

「こういうイベントが成立してること自体が嬉しいですね。最初は『誰が聞きたいねん、俺の話。しかもラップだけで』と思ってましたし(笑)。単純にラップの話をするのが好きやし、それをみんなが聞いてくれて、こんなに回数を重ねることができたのは、ありがたいことで」

「俺の分析は、あくまでも想像や妄想です」。R-指定(Creepy Nuts)が「日本語ラップ」を読み解き始めた本当の理由_2

これまでにRHYMESTERやZeebra、スチャダラパー、般若といった日本語ラップを代表するアーティストについて、独自の視点から紐解いてきたR-指定。

「まず言っておきたいのは、いろんな楽曲やアーティストに対する俺の解説は、(事実ベース以外は)『こうなんです』『こう聴くべき』みたいな、“正解”を出してるわけではないんですね。あくまでも『俺はこう思うんです』『もしかしたらこうやったんやないかな?』みたいな、俺なりの解釈とか、俺がどういう風に聴いた、感じたか、なんです。だから基本的には俺の想像とか、妄想の話だと思ってください(笑)」