Time's Upイニシアチブが組織の閉鎖を宣言
一方、「ニューヨーク・タイムズ」の記事が出てから5年以上が過ぎた今年の1月、Time's Upイニシアチブが組織の閉鎖を宣言した。
Time's Upイニシアチブは、性的暴行被害者の支援や業界全体の女性の声を増幅させることを目的に結成された非営利団体。リーズ・ウィザースプーンやメリル・ストリープといったハリウッドの大物女性たちがアクティブに支援し、脚光を浴びた。
ところが初代CEOリサ・ボーダーズは、息子の性的暴行疑惑を受けて辞任。後を継いだティナ・チェンは、大統領候補と目されていた時期のジョー・バイデンとクオモNY市長に対する性的暴行疑惑のハンドリングを誤ったため、退任を迫られる結果に。
Time's Upの2代目CEOとなったチェンは、元々はシカゴを本拠地とする企業弁護士で、オバマ大統領時代にファーストレディであるミシェル・オバマの首席補佐官としてホワイトハウス入り。女性・少女コミティーの事務局長として女性のための前向きな変化を推進してきた人物だ。民主党の政治家とかなり親しい関係にあり、権力に近いことを武器にしてきた側面もあった。しかし、これが利益相反を生む結果となったのだ。
バイデンの元スタッフだったタラ・リードがバイデンの性的暴行を告発した際にTime's Upが沈黙を守ったのは、チェンの指示だったようだ。また、クオモNY市長をめぐるセクハラ問題でもチェンや理事のひとりだったロベルタ・カプラン(Time's Up創設者のひとり)の権力に寄り添う姿勢が明らかになった。
チェンは理事会に対して一連の不始末についての説明責任は果たしたものの、ションダ・ライムズやエヴァ・ロンゴリアが理事会から離脱し、ジェシカ・チャスティンやジュリアン・ムーア、ジャネル・モネイといった著名で影響力のある女性からなる顧問団も解散した。チェン自身は当初、辞任を拒否したものの、避難の声が高まって、声明発表から3日後に辞任している。