健やかな執筆生活をために欠かせない、夫のサポート
執筆の気分転換に、近所を散歩することも。住んでいるのはロンドンから1時間ほどの場所で自然も豊か。近くにはりんごの果樹園があり、散歩しながらりんごの育ち具合をチェックするのが日課になっています。健やかな執筆活動を続けるためには、夫の生活のサポートが欠かせないと言います。
「実は夫が家事の9割をやってくれています(笑)。私が家事が苦手というのもありますが、彼は洗濯や料理が得意で、苦に思わずやってくれるんです。夫は朝7時に起床して簡単な朝ごはんを作り、部屋の掃除やゴミ出し、洗濯など、夜型の私が起きるころには一通りの家事を済ませてくれています。本当にありがたいです。私の担当は、洗濯物をたたむこと。乾燥機で乾いた衣類をたたむだけ、5歳でもできるようなことですが(笑)そのくらいで勘弁してもらっています」
週末は自転車に乗って、2人で買い物に出かけることも。そんな時も、トイレットペーパーや水、常備品のストックが残っているかどうかをチェックするのは夫の担当。事務仕事、管理全般が苦手な新川さんにとって、自分とは真逆なタイプの夫は相性がとても良いそう。
「私はとにかく面倒くさがりで、トイレットペーパーを平気で切らしてしまうタイプ(笑)。人にやってもらうことも全然嫌じゃないので、私が興味のないところを全部やってくれる夫とは、とても相性が良いと思います。 昔からの付き合いだし、気も使わない。私にとってはとてもありがたい、理想的な夫ですね」
原稿は、夫に一番に読んでもらっています
一方で、作家の夫ならではの特権も。作品を送り出す前の重要な役回りを担当していることを明かしてくれました。
「原稿は、夫に一番に読んでもらっています。原稿を編集者さんに送るって、実はとても勇気がいるんですよ。自信がなくて、これでいいのかが分からない。その勇気がもらえる感想が欲しいんですよね。“面白かった”と褒めてほしい。でも、毎回同じ褒め方だと嘘っぽく聞こえるから、それぞれ、どこが面白かったか、どう面白かったかを具体的に褒めてほしいんですよね(笑)。私って、結構面倒臭いやつだと思いますけど(笑)夫には全面的に支えてもらっています」
新川帆立さんに聞きました
心のウェルネスのためにしていること
月1回のカウンセリング
「作家は、売れても売れなくてもメンタルを病みやすい職業だと思っています。メンタルを壊してしまうと、元に戻すのがとても大変です。心のウェルネスを支えているのが、月1回のカウンセリングです。元気がないからお願いするわけではなく、毎月定期的にカウンセリングをお願いしています。自分が気づいていなくても、話しているうちに“これが嫌だったんだ”“悩んでいるんだ”と気付かされる。病みそうになる前に、お医者さんが先に気づいてくれるんですよね。日本にいた頃から同じ先生にお願いして、今はzoomでカウンセリングを受けています。1回5000円くらいでお願いできるので、とてもおすすめです」
身体のウェルネスのためにしていること
睡眠はきちんと7時間!
「とにかく寝ることですね。筆が乗ってくると、ついつい徹夜して書いてしまったり、面白い本を読んでいると止められず読み続けてしまったり。生活のリズムは乱れがちなのですが、睡眠時間はきちんと7時間は取るようにしています。筆が乗りすぎて眠ろうとしても、頭の中でどんどん書き続けているようなこともあります。寝入りに時間がかかっても、大体はそれくらい寝るようにして疲れを取るようにしています。睡眠不足で書き始めても効率が悪くなるだけ、睡眠は大事です」
インタビュー前編はこちら!
撮影/高村瑞穂 取材・文/武田由紀子