やめられるデザイン

このように、スプラトゥーン3は「やめられる」ように作られているというのが、私の考えだ。

私は先程あげた仕様を、1時間を越えて遊ぼうとすると少し面倒に感じる仕様だと捉えた。しかしその匙加減は絶妙で「制限」ではなく「その日の目標」と感じるバランスで実装されている。
例えば私は普段オカシラシャケ1回を目安にサーモンランで遊ぶが、プレイ時間を抑制されていると感じたことがない。「オカシラシャケでやめなきゃ」ではなく「オカシラシャケまで遊ぼう」と考えてゲームを起動している。結果的に、1時間も経たないうちに、程よい満足感でゲームを終了することができている。

これは逆に言えば、1日1時間以上遊ぶと急に得られるものが少なくなる仕様とも言える。時給計算をしてみると、働くほど時給が下がっていくのだ。
しかし、1日1時間ほど遊ぶ人にとって、長時間プレイヤーと絶望的な差がつくことがないため、長時間遊ばなくてはいけないと焦る要素も少なくなっている。いわば「たくさん遊んだ人」よりも「コツコツ遊んだ人」の方が、得られるものが多い仕様だ。

対照的なのは、前作スプラトゥーン2。このような明確な区切りが設定されておらず、ゲームの面白さもあいまって、一度遊び始めると自分でやめ時を見つけることが難しかった。
5分ほどで終わるコンパクトなゲームの繰り返しに、勝利の喜びや敗北の悔しさ、レートの上下が上乗せされる。この状態でゲームをやめるには、相当の自制心が必要だった。
実際私もスプラトゥーン3が発売されるまではこの点を非常に問題視していたが、見事な解決を実現した本作は、本当に素晴らしいと考えている。