特性理解に基づいて、自分ならではのキャリアを実現

——キズキビジネスカレッジでは、どのようなことが学べるのでしょうか。

長谷川 Webマーケティングや会計、英会話、プログラミングといった、一般的なビジネススクールで教わるようなカリキュラムを提供しています。「特性を理解してキャリアを選択できるようにすること」を実現するため、バリエーションが豊かな講座に参加してもらい、ご自身の得意不得意や興味関心を探っていきます。

【キズキビジネスカレッジで提供している講座(一部)】
 ・会計初級、上級
 ・デジタルマーケティング
 ・Excel初級、上級
 ・英会話
 ・Webデザイン
 ・動画編集
 ・情報セキュリティ
 ・エシカルハッカー
 ・Webライティング
 ・TOEIC対策コース


また、発達障害がある人ならではの困りごとに対応した講座も用意しています。中でも重きをおいているのが「自己理解講座」です。最近では、プログラミング特化やデザイン特化などの就労移行支援施設もできつつあり、「発達障害の人はプログラミングが得意」などの固定概念が形成されているように感じています。

しかし実際には、同じ発達障害といっても特性はさまざまなので、適職も異なります。したがって思い込みや無理に当てはめることにとらわれず、自己理解を深めて適性を知ることが重要です。

【困りごとへの対処法を学び、就職を成功させるための講座(一部)】
 ・自己理解講座
 ・コミュニケーション
 ・就職先研究ゼミ
 ・就活戦略ゼミ
 ・ビジネスシーン失敗回避術
 ・睡眠

「“発達障害者は単純作業が得意”は先入観」当事者が立ち上げた、生きづらさを抱えている人たちが適職を探せるサービスとは_2
サービス管理責任者 長谷川倫美さん

——なぜ自己理解講座を提供しているのでしょうか。

林田 自己理解講座は、自分の特性を理解したり、自分の特性に合った適職を見つけやすくしたりすることを目的としています。自己理解が深まった結果、日常での生きづらさも軽減できます。

発達障害の人の特性はひと括りにできませんが、強いて言えば「ストレスへの弱さ」が共通しているといえます。

けれど、どのようなストレスに弱いかは人それぞれ。「自分なりのルールを遵守できない環境でメンタルが壊れてしまう」という人もいれば「一見は周囲の人と上手に付き合っているように見えて、実は環境に過剰に適応していて、最終的にストレスを貯め込んでしまう」という人もいます。

自分のストレスの原因を知って対処法を身につけることも、自己理解の一環ですね。

——林田さんや代表の安田さんが当事者だからこそ、支援が行き届くといった側面はありますか?

林田 私たちが当事者だからといって、利用者さんのことを完全に理解できるとはいえません。むしろ自分たちの主観や経験的な部分で判断しやすいともいえますし、それは支援の専門家にも当てはまります。

公認会計士の当事者が、別の支援機関で「あなたは公認会計士だから支援が必要ないでしょ」と言われたと聞きました。このように、専門家であっても偏見が入った発言をしてしまう領域なのです。

したがって、私たちが「当事者だから」という先入観を持って支援をすることは避けなければならないと考えています。キズキには「ファクトとロジックに基づいて議論する」という行動規範がありますが、これは現場でも同じです。これまでの支援実績で積み上げたデータや、利用者さんとの面談によって、それぞれの特性や困りごとに即した支援を提供しています。