我が子を使ってまで男にカネを無心する最低な手口

何がそんなに男を惹きつけるのか不思議だが、「サトミ」はBさんの四十九日も明けぬうちに、次の獲物をロックオンしていた。それが、最初に詐欺容疑でともに逮捕されることになる元自動車セールスマンの男であり、強盗殺人の罪をなすり付けようとした相手だった。
この男にも家庭があり、身なりも小綺麗で仕事の評判も上々のセールスマンだったが、「サトミ」と付き合うようになってからは彼女に促されるまま「何でも屋」として取り込み詐欺などに手を染めるようになった。

「サトミ」こと「美由紀」の毒牙にかかって命を落としたとされるのは、時系列順に、前編で触れた大手新聞記者のAさん(04年5月、自殺)、借金をしたという念書を書かされていた警備会社員のCさん(07年8月、海で溺れ9日後に死亡、当時20代)、前述の刑事Bさん(08年2月、自殺)、トラック運転手の矢部和美さん(09年4月、海で遺体発見後、司法解剖で睡眠導入剤検出、当時47歳)、電器店経営の圓山秀樹さん(09年10月、鳥取市内の川で変死体で発見、当時57歳)、アパートの隣人のDさん(同、自室で変死、当時50代)の6人。

「美由紀は子どもをダシに使う」元交際者が語った、獄中死した“毒婦” 上田美由紀死刑囚の素顔。イケメン刑事にも500万円貢がせた驚愕の手口とは?_3
上田死刑囚は2番目に不審死したCさんにありもしない借用書を書かせて、給料を奪ったり暴力を振るったりしていた

「サトミ」の蟻地獄にハマりかけたところで目が覚め、命拾いした男性に聞いた取材メモが残っていた。当時66歳の元ダンプカーの運転手だ。数々の男たちを破滅させた「美由紀」のテクニックとはなんだったのか。

「美由紀は子どもをダシに使う。家に招かれ、3人の子どもに『お父さん、一緒に暮らそう』とか言われると、こっちも嫌な気はしないわな。それに子どもにも電話をかけてこさせてお金を取ろうとする。『お母さんが入院しちゃって水道代が払えないから、お父さん3万円ちょうだい』とか言ってな。多い月で80万円ぐらい持ってかれたわ。

美由紀は睡眠薬を常にポーチに入れていて、オレも飲まされたようなことがある。ホテルから出てきて、美由紀と飯を食っていたら、意識が朦朧としてきて記憶がほとんどなくなって、美由紀の兄貴と名乗る男に車で家まで送ってもらったことがある。その時は何も取られなかったが、兄貴の彼女が金を使い込んだから貸してくれとか、兄貴の家をリフォームするから金を貸してくれというのもあった」