1 アンセル・エルゴートの役作りがすごい
主演のアンセル・エルゴートが演じるのは、東京の大学を卒業し、難関試験を突破して大手新聞社に就職したジェイク。警察担当記者となり、ある殺人事件現場に遭遇したことをきっかけに危険な取材を重ねていくことに。
日本での撮影が行われる前、アンセルは第1話の監督でありシリーズ全体のエグゼクティブ・プロデューサーを務めたマイケル・マンの指示のもと、ジャーナリストの経験をするために記者についてロサンゼルスの警察を回り、ストリートで一般の人にインタビューを試みたという。なかなかコメントをもらえず苦戦していると、監督から「絶対にコメントをもらえ、これがもらえないとクビになるとでも言って、絶対にコメントをもらって記事を書け!」などと言われ追い詰められたとか。
2020年3月〜2021年6月に行われた撮影では、アンセルはジェイクになりきって実際に日本で生活し、文化を習得。異国での撮影に臨むというだけでも大変なのに、1日4時間日本語の勉強をし、合気道の稽古までしていたというから驚きだ。
その甲斐あってか、居酒屋のカウンターで焼き鳥を口にする様子や、192cmの長身には狭いであろう畳敷きのボロアパートで生活する姿など、ドラマの中でのアンセルの立ち居振る舞いは板に付き、日本の風景に馴染んでいる。
『ベイビー・ドライバー』(17)では無口な天才ドライバーをクールに演じ、『ウエスト・サイド・ストーリー』(21)ではダイナミックなダンスと美声を披露したアンセルが、“背広”を着て日本語を話し、東京中を駆け回る……。そんなレアな姿を見逃すわけにはいかない。