薬効成分のある食材の使い方や入浴方法にも、
各国のお国柄が反映されていた
●最強はショウガかニンニクかレモンかハチミツか
前項にも少し出てきたが、風邪を撃退するための食材として、世界中で用いられているのがショウガとニンニクとレモンとハチミツだ。
だがその使い方は、お国柄によってまちまちのようで……。
・生ニンニクを糸で数珠つなぎにして首にかける(ブラジル)
・生ニンニクを細切りにしてそのまま食べる(ミャンマー)
・ハチミツを身体に塗って叩く(モンゴル)
・レモン葉の煎じ汁を飲む(フィジー)
・クローブの花とショウガの煎じ汁を紅茶に入れて飲む(インド)
・粉末ショウガを湯に溶いて飲む(インドネシア)
・ショウガと砂糖を煮込んだ熱い湯を飲む(ホンジュラス)
・ショウガ、コショウ、タマネギ、トマト、肉などの入ったスープを飲む(ガーナ)
・乾燥ショウガを煎じた湯で紅茶を入れ、シナモンを加えて飲む(エチオピア)
・すりおろしたショウガを湯にといて飲む(タンザニア)
・ショウガジュースを飲む(台湾、ギニアなど多数)
・頭痛のときはレモンをかじる(ヨルダン)
●風邪に効く食べ物にも諸説あり
風邪をひくと食欲が減退するものだが、民間療法的にはやはり、そんなときにこそ食べて栄養をつけるのが一番ということになる。
無理矢理にでも食べるとしたら、どんなものがいいのだろう……。
・野菜やヒョウタン、青く固いバナナなどを煮込んで食べる(バングラディシュ)
・トウガラシを入れたモヤシ料理を食べる(韓国)
・発熱したときは、薄切りにしたスターフルーツに塩をふって食べる(台湾)
・ココナッツミルクを入れたお粥を食べる(フィリピン)
・のどが痛いときはホウズキを食べる(ペルー)
・生のアロエを食べる(ロシア)
●水浴? マッサージ? おまじない? その他の行動系
日本では湯冷めをすると悪化するので、風邪のときには入浴を避けた方がいいとされてきたが、最近ではむしろお風呂で体を温めた方がいいとも言われることも多い。
世界に目を向けると、もっと混乱しそうだ。
・発熱時はぬるいシャワーを浴びる(欧米各国)
・発熱したら薄着をして水風呂に入る(アメリカ)
・熱が出たら熱い風呂に入る(台湾)
・お風呂にはいつもより長く浸かる(フランス)
・背中にオイルを塗ってヘラでこする(ベトナム)
・体にタイガーバームを塗りコインでこする(インドネシア)
・発熱時、アップルサイダービネガーを染み込ませた靴下を履いて寝る(フランス)
・ユーカリの葉を熱いタオルで巻いて、胸の上に乗せる(オーストラリア)
・ユーカリの葉を煎じて蒸気吸入(エチオピア)
・パームオイルに樟脳を混ぜたもので全身マッサージ(フィジー)
・上半身を酢でマッサージ(リビア)
・発熱時は水で頭を洗う(バングラディシュ)
・玉ネギと岩塩をつぶして扁桃腺に直接塗りつける(バングラディシュ)
・発熱時は沸騰した湯にバームを入れその蒸気を吸入(パキスタン)
・生バターを熱してリキッド状にしたものを胸に塗りマッサージ(インド)
・背中を乾布摩擦(台湾)
・グアバの葉を額に貼る(フィリピン)
・厚着をして汗をかく(ベネズエラ)
・熱が出たときはサウナや水風呂に入り、アルコールで体をふく(スペイン)
・高熱時は冷水シャワーを浴び、アルコールで体を拭く(ペルー)
・薄切りにした生のジャガイモを額に乗せる(ペルー)
・軽い発熱時は水浴をしてから寝る(タンザニア)
・アルコールと塩を入れた冷水に足をつけて熱を下げる(イラン)
・鼻風邪はアロエ汁を鼻腔に入れる(ロシア)
・水をたくさん飲み、入浴せずに休む(イギリス)
行動系は特に、その国特有の気候などとも関連がありそうで、そのまま日本で実践しても逆効果のものもあるかもしれないので気をつけたい。
今回ご紹介した世界の民間療法はごく一部で、まだまだたくさんの風邪撃退法があるようだ。
どの方法で治すかは自分次第。
世界はまだまだ広いんだな、ということだけ理解できたような気がする。
文/佐藤誠二朗