日本には昔から、風邪に対するいくつもの民間療法が伝えられてきた。
・ネギを首に巻いたり、鼻に当てたりする
・玉子酒を飲む
・ハチミツを混ぜたショウガ(またはレンコンやダイコン)のおろし汁を飲む
・塩を溶かしたお湯でうがいをする
さらには
・黒く焼いた梅干しを熱い湯に注いで飲む
・卵黄に酢と黒砂糖を混ぜて飲む
・頭痛には梅干しをこめかみに貼る
・すりおろしたりんごを食べる
・くず湯を飲む
などもある。
「熱が出たら入浴を控え、暖かくして寝る」というのも、日本で普及している民間療法のひとつと言えるだろう。
数えきれないほどある、世界の「これを飲め!」系民間療法
幸いにも僕の“ただの軽い風邪”は、『パブロンゴールドA』を朝昼晩と服用し、ネギを鼻に当て、塩うがいをし、暖かくしてとっとと寝たら翌朝にはすっかり治っていた。
「何が効いたんだろう? まあ一番は“早めのパブロン”だろうな」と思いつつ、いつも風邪をひいたときに実践しているいくつかの“おばあちゃんの知恵袋的民間療法”も、確かに症状を和らげる効果があったと再認識。
やはり民間療法は馬鹿にできないと思ったので、この際、世界各国に伝わる様々な民間療法を調べてみた。
するとなかなか面白かったので、ここに発表したいと思います。
●「酒を飲め!」系
日本に古来から伝わる玉子酒(温かい日本酒にとき卵を混ぜた酒)と同様、世界にはアルコール類を飲んで風邪を撃退する方法が広く普及している。
用いる酒にお国柄が反映されているようだ。
・ホットワインを飲む(イタリア、フランス、ドイツなど欧米各国)
※ホットワインにコショウやハチミツを入れたり、砂糖を入れて玉子をといたりする方法も。
・ビールにハチミツを混ぜて飲む(北欧諸国)
・ビールを温めて飲む(ドイツ)
・コニャックをミルクで割って飲む(イタリア)
・焼酎に唐辛子を混ぜて飲む(韓国)
・ウォッカにコショウを入れて飲む(ロシア)
・ラム酒のお湯割りを飲む(フランス)
・ラキ(バルカン半島に伝わる強い酒)を温めて飲む(アルバニア)
・ラム酒やトラピストビールを飲む(ベルギー)
・ピスコという強い酒にレモンを絞り飲む(ペルー)
●「コーラを飲め!」系
もともとは19世紀にアメリカの薬剤師が発明した薬用飲料であるというイメージが根強いためか、風邪をひいたらコーラを飲む習慣がある国は多い。
またコーラに限らず、炭酸飲料やジュース類が効くと信じられている場合もあるようだ。
・コーラを飲む(フランスはじめとするヨーロッパ、アジア、南米諸国まで広く普及)
※温めたコーラの方がより効果的とされることが多いが、冷たいものでもいいようだ
・ホットコーラにコリアンダーを入れて飲む(スリランカ)
・ホットコーラにレモンを入れて飲む(シンガポール)
・ホットコーラにレモンとショウガを加えて飲む(香港)
・レモンジュースを飲む(マレーシア、パラグアイなど多数)
・レモネードを飲む(スペイン、チリなど)
・レモンやハチミツを溶かしたオレンジジュースを飲む(イラン、ヨルダンなど)
・温めたジンジャーエールを飲む(カナダ)
・ココナッツジュースを飲む(ソロモン諸島、バングラディシュなど)
●「お茶を飲め!」系
緑茶、紅茶、ハーブティーに限らず、各種のお茶を飲む民間療法も、世界各国で用いられている。
煎じ汁やその他のドリンク類もここでご紹介しよう。
・カモミールティーを飲む(ドイツ)
・紅茶にショウガを混ぜて飲む(インド、スリランカ)
・ローズヒップティーを飲む(インド)
・菩提樹ティーを飲む(ロシア、トルコ)
・チキンスープを飲む(アメリカ、カナダ、チリ、ベネズエラなど多数)
・牛乳にハチミツをたっぷり入れ、ウィスキーを少し垂らす(イギリス)
・ローリエの葉とショウガを入れた熱い紅茶を飲む(バングラディシュ)
・コリアンダーとショウガの煎じ汁にレモン葉を入れて飲む(スリランカ)
・ニンジン茶やハチミツ湯を飲む(韓国)
・熱いアーモンドスープを飲む(台湾)
・グアバ葉の煎じ汁やカラマンシーのお湯割りを飲む(フィリピン)
・温めた牛乳に生卵を入れたものを飲む(インドネシア)
・レモンと砂糖を入れたお湯を飲む(ベネズエラ)
・ハチミツ入り牛乳を飲む(フランス、スペインなど)
・ハチミツを加えたレモンのお湯割りを飲む(イギリス)
・熱い牛乳にバターと重曹を入れて飲む(ロシア)
・タマネギの薄切りをゆで、ハチミツを加えた汁を飲む(スイス)
・ドクダミ、赤しそ、桑の葉の煎じ汁を飲む(台湾)
・ただのお湯を大量に飲む(中国)
このほかにも、世界には様々な“飲み物系”民間療法があるが、調べれば調べるだけ出てきてキリがないので、おおよその傾向が見えたこのあたりで切り上げよう。
世界には、いろんなおばあちゃんがいるものだ。