テレビから姿を消した彼は今、何をしていているのか
翌2020年の六月に退院し、そのまま実家に戻った。
相変わらず左半身は麻痺したままだ。けれどリハビリと筋トレを重ねるうちに、動きもだいぶ自然になってきた。
さて、これから何をしよう。
『物書きになりたい』
ふとそんなことを思った。もともと読書が好きで、入院中もずっと本を読んでいた。
けれど、自分には書く才能があるのか。そもそも書きたいことがあるのか。わからなかった。何をどう始めればいいのかも、わからなかった。
そんなとき、村本さんの紹介である作家さんに出会った。彼から学び、書き、書いて、わからないまま書いてみた。
作家さんは言った。
「今、漫才師が小説書くのが流行りやから、先に村本とコンビ組んでから、書いたらどうや? "まなかパラダイス"」
楽しくて、書いている間は病気のことも、将来の不安も忘れられた。そして新たな夢が出来た。読者が絶望から光を見つけられる、きっかけを与えられるものを書きたい。
そしてそのスタートとして、村本さんについての文章を書きたい。彼が、私に『希望』を与えてくれたから。
その夢がこんなに早く実現することを、一体誰が予想できただろう。
村本さんは今、米国ビザが下りるまでの間、日本各地を回り独演会をしている。2017年以降テレビから姿を消した彼は、今何をしていて、何を感じているのだろう。聞きたいことがたくさんありすぎた。
“I’m honored to be here today. Firstly, thank you for accepting our interview.”(今日ここにいることを光栄に思います。まず、インタビューを受けて下さることに感謝します。)
「What⁉」
初めて会ったときと同じように、突然、英語で取材を始めた。村本さんは驚いていた。
“You are learning Englishでしょ?”
「でしょって……(笑)。yeah, yeah.」
ロンドンで過ごした一か月について英語で話してくれた彼の語学力は、当時とは比べ物にならないくらいに上達していた。
文/金愛香 撮影/U-YA
村本大輔インタビュー♯1に続く
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