Pってなに?
――来季のドラマが発表されるたびに、演者や脚本家だけでなく、プロデューサーに期待を寄せる声もよく見ます。ただプロデューサーという職業が、具体的にどこまでなにをやっているのかわからない方も多い印象です。改めてドラマプロデューサーの仕事を教えてください。
プロデューサーとは、ドラマの世界観を作り上げていく人。具体的にいうと、企画を作り、それをどんなキャスト・脚本家・監督でやるかを考える、僕の場合は音楽や主題歌まで、まず最初に考えます。
――具体的に、今回の『silent』放送開始までの村瀬さんの動きを教えてください。
今回の『silent』の場合は、さっき言ったように、まず最初に川口春奈さんと目黒蓮さんでラブストーリーをやろうと決めました。次に決めたのが脚本家。「フジテレビヤングシナリオ大賞」で審査して以来、すごい才能の持ち主だと思っていた生方美久さんに「一緒にやりませんか?」と声をかけました。
そして、生方さんと二人で登場人物のキャラクターや大まかなストーリーを決めていき、演じてほしいキャストにオファーをして交渉していきました。そしてドラマの世界観がだんだん見えてきたところで、誰に監督してもらったらベストかを考え、風間太樹監督に声をかけました。
主題歌は絶対にヒゲダン(Official髭男dism)にお願いしたいなと思ったので、直接お願いしに行きました。
――放送してからは、どのような動きをしているのでしょうか?
ドラマが作り上げられていく全ての行程に参加しています。一番重要な仕事は脚本家と一緒に次の話、その次の話というように先々の本を作ることなのですが、可能な限り、撮影現場にも行くようにしています。
それで、もしも監督が僕の狙っていることと違うことを言っていたら、「こうした方がいいんじゃない?」と提案したりすることもあります。撮影後に編集をする時も、「ここにこういうカットを入れた方が効果的なんじゃない?」とか、どのタイミングで音楽を入れるかなどの意見を言います。
脚本家の方や、監督が作ったものに「もっとこうしたらおもしろくなるんじゃない?」というのがプロデューサーの役割だと思っています。
――なるほど。前編で大学時代は脚本家になりたかったということをお話ししていましたが、村瀬さんがドラマに携わる中で、監督でも脚本家でもなくプロデューサーを選んだのはなぜですか?
たしかに日テレに入社した当初は監督もいいなと思っていました。ただ、実は連続ドラマの多くは、いくつかの話数を複数の監督で撮っているんです。今回の『silent』も3人の監督が分担して撮っています。だから、連続ドラマの場合、監督はドラマ全話に携わるということができないんです。
逆にプロデューサーは全話を通して携われて、その作品の責任を取る立場にある。世界観を作るのが好きな僕にとっては、トータルを見つつ、演出は僕よりもセンスや技術のある監督にお願いした方が絶対にいいものができると思ったんですよね。もちろん脚本もそう。集まった人たちの能力を最大限に発揮してもらって、自分が企画した世界観を実現させる立場の方が自分にはあっているなと考えるようになったんです。