第1位

『私の解放日誌』

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世の中、いつも順風満帆、どんな時も意気揚々…なんて人は多分ほとんどいないのではなかろうか。どこかに閉じ込められたまま鬱々と出口が見つけられず、見つける気力も起こらない、そんな人がきっと大半だろう。

本ドラマが描きだすのもそんな3兄妹。田舎町からソウルへと毎日往復3時間かけて通勤する閉塞感に苛まれた日常を送る3人。長女のギジョン(イエル)は、人生に不満多き独身アラフォーで、白馬の王子様待ちの高飛車態度ゆえに、恋多き上司にさえ女として見られていないという現実。

長男のチャンヒ(イ・ミンギ)は、出世に縁遠いコンビニ本社営業マン。大金持ちにも、天才にもなれない自分の現実を知るゆえに、同僚や友人にグチるしかない毎日。
自分に自信がない内向的な性格なのが末っ子のミジョン(キム・ジウォン)。元カレの借金を肩代わりしても、上司に理不尽にダメ出しされても、同僚女子たちに軽くハブられても、ただ内にこめるだけ…。

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そんなミジョンが、彼らが暮らす町にふと現れたナゾの男、ク氏(ソン・ソック)に興味を持つところから、この鬱々な3人+1人の物語が動き始める。閉塞した人生から彼らはどうやって“解放”されるのか。
ありふれた人のありふれた日常を描く物語は、一見地味ではある。だが余計な説明シーンを削ぎ落とし、視聴者の想像力に委ねた懐深い脚本と、演出が見るものの心を満たしていく。

それぞれの現実に向き合いながら、それでも前を向こうと必死でもがく4人の姿は、可笑しくも愛おしく、深い共感を覚えずにはいられない。
そして、ラストの温かで優しい希望への余韻……どんな復讐劇やサクセスドラマより、爽快感を味わえるはずだ。


文/山﨑敦子