「野球は男子のスポーツ」「女子の選択肢が少なすぎる」を変える。東京六大学初の女子硬式野球部をつくった明大生たちの挑戦_05

いつか東京六大学で女子野球リーグを

現在、明大女子野球クラブのメンバーは12人、スタッフらを合わせると約20人が参加している。野球やソフトボールの経験者は数人で、大半が未経験者だ。細田恵実子さん(1年生)も、大学から野球を始めた初心者だ。

「小学生のときから生粋のジャイアンツファンで、ずっと観戦するほうが好きでした。野球をやりたいと思っても機会がなくて中高はバスケ部。野球部はあっても男子しかいないし、『野球は男子がするスポーツなんだな』と感じていました。

大学に入ってからインスタで、女子野球部をつくるという投稿を見つけて、藤﨑さんにすぐメッセージを送りました。まだまだ創部したてで練習する機会も少ないですけど、楽しいですね」(細田さん)

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細田恵実子さん

経験者だけでなく初心者の入部も大歓迎だという藤﨑さん。

「ずっと野球をやってみたかったけど周りに環境がなかったという細田のような学生が大学から野球を始める。そういうきっかけになりたい思いが強いです。決して勝ち負けだけを求めているわけではないので、野球経験の有無も、上手下手も全く関係ないです」

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マネージャーとしてチームを支える林さん

現在はまだ「非公認サークル」の女子野球部クラブだが、まずは2年間の活動実績をつくることで「公認サークル」への昇格を目指す。体同連(サークルと部活の中間に位置するクラブ)や体育会として認められるには、さらに10年間の活動実績が必要になる。

練習は週3回。明大生田キャンパスのグラウンドで、藤﨑さんも選手として所属している体同連の生田硬式野球部と一緒に行っている。

キャッチボールや生田硬式野球部のバッティング練習に混ざって打つという基本練習が主だが、キャンパスが違うメンバーもいるので、女子部員が全員そろう日は少ない。道具などもそろっているわけではなく、独自では十分な練習ができないのが現状だ。

「『試合に勝つ』よりも前の話になっちゃうんですけど、まずは練習できる場所や環境を確保して、明治女子野球クラブとしての活動をもっとやっていきたいです」(細田さん)

「9人でポジションを決めるというのもまだできていないので、だいぶ先になるかもしれないですが、いつかは試合にも出てみたいです」(冨田さん)

「全国大会である日本大学女子野球選手権に出場することがまず第一歩ですね。20年後、30年後になるかもしれないですが、ゆくゆくは六大学で女子野球部リーグができて神宮球場で試合をするのが夢です」(藤﨑さん)

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