「アニメ」であるために、あえて制約を残すことも重要

『ドラゴンボール超 スーパーヒーロー』は日本アニメの歴史を変えたのか。「ピクサー的“ポリゴンルックアニメ”には限界が見え始めている」と言われるワケ_3

――『ドラゴンボール超 スーパーヒーロー』では、キャラやカメラワークの他、アクションも素晴らしいと感じました。

例えばキャラクターが回し蹴りをするときにカメラも一緒に回ることなど、手描きでは難しいアクション表現ができるようになりました。とはいえ、キャラクターの動き自体は3D特有のぬるぬるとした動きではなく、手描きアニメ的な動きを徹底しているんですよ。

――映画は秒間24コマですが、あえて全コマで動かさないということですよね。

そうです。リミテッドアニメと呼ばれる日本アニメの伝統に則り、アクションシーン以外はあえて12コマで動かしたりしているシーンもあるんです。こうすると「アニメ」としての違和感がなくなるんですよ。
他にも、実際の人間やポリゴンルックのアニメキャラって、呼吸などで常に微妙に動いてますよね。でも、今作では手描きアニメっぽく止めるところはピタッと止まるようにしています。

『ドラゴンボール超 スーパーヒーロー』は日本アニメの歴史を変えたのか。「ピクサー的“ポリゴンルックアニメ”には限界が見始めている」と言われるワケ_4

――より自然になったとしても、「アニメ」の文脈で観る以上は逆に違和感が出てしまうんですね。

同様に、モーションキャプチャーもあえて使いませんでした。モーションキャプチャーを使えば簡単に正確な動きがつけられるのですが、全編通して「アニメ」っぽい動きに統一するため、手作業によるアニメーションにしました。

――その一方、セリフを喋っているメインキャラの背景にいる人物は手描きアニメでは静止しがちですが、本作では後ろで芝居をし続けているのが印象的でした。

まさにそこは各所関係者の方々にも喜んでもらえたポイントでした。作画枚数が極端に増えてしまうので、手描きではなかなかできることではないんですよ。