「ドイツで活躍できなかったら、キャリアはここで終わるんやな」

ドイツ、スペインという世界の強豪相手に大逆転勝ちをやってのけ、グループE首位で決勝トーナメントに進出した日本代表。ドイツ戦に続き、またしても値千金の同点弾をぶち込み、大躍進の立役者となったのが堂安律だ。

ドイツ戦後に「決めるのは俺しかいない」、スペイン戦後に「これで1戦目が奇跡じゃなくて必然で勝ったと国民の皆さんに思ってもらえる」と言い切るなど、24歳の“漢気レフティー”はプレーだけでなく、その言動でも日本中から注目を浴びる存在となった。

弱冠20歳で日本代表デビューを果たし、出場3試合目の強豪ウルグアイ戦で初ゴールを挙げるなど順風満帆なサッカー人生を送ってきた堂安だが、実は3年前にサッカー人生最大の挫折を経験した。週刊プレイボーイ(集英社刊)の連載コラム「堂安律の最深部」では、その大きな壁を乗り越えた当時の心境について赤裸々に明かしている。

「PSV移籍1年目には、人生で初めて、怪我もしていないのに試合に出られないという経験をして、次のシーズンが始まる前に(ドイツ・ブンデスリーガの)ビーレフェルトへ移籍したんですけど、そこから肝の据わり方が変わりました。『ドイツで活躍できなかったら、俺のサッカー選手としてのキャリアはここで終わるんやな』と本気で思いましたから。人生でいちばん覚悟を決めた瞬間でした。

以前は『俺はやれるんだ』『俺は強いんだ』と自分自身に対して強気な言葉を言ったりもしていたけど、そういう無意識のカッコつけがなくなりました。『ここでダメなら、サッカー選手としてのセンスがなかったってことやから、もうしゃあない。どうせなら思いきって楽しんでやろう!』って心の底から吹っ切れたというか。俺にはもう失うものないんで。腹をくくって覚悟を決めちゃえば、怖いものなんてないんですよ」