少子化を乗り越えたフランスの家族支出額は?
では、国民負担率が高い政府依存型のフランスはどうでしょうか。
同調査でも22か国のうち7番目に幸福度の高い結果となっています。フランスといえば、1994年に合計特殊出生率が1.66まで低下し、その後国家による家族関係支出を増やし、一時2.00まで回復させた少子化対策先進国として有名です。しかし、特殊出生率は2010年をピークに下がっており、今では家族関係支出を増やしたから出生が増えたとも言えないという声も挙がっています。
とはいえ、子育て支援としての現金給付などは日本でも多くの人が望んでいることです。では、今の日本がフランスほどの家族支出をするためにはどれほどの財源が必要になるでしょうか。
厚生労働省の資料によれば、フランスはGDPに対して2.73%ほどを家族関係に支出しています。一方の日本は2020年度では2.01%となっています。同資料によると日本による2020年度の家族関係支出の金額は107,536億円となっています。つまり、10.7兆円です。
金額が大きすぎてイメージができないと思いますが、2021年度の日本の消費税収は過去最高の21兆8886億円でした。10%の消費税でこの税収です。仮にフランスと同程度の家族関係支出レベルにしようとすると、さらに数兆円規模の財源が必要となります。
つまり、国がサポートする「国家依存型」の社会保障には多くの財源が必要になり、その財源をどう用意するかが問題だということになります。
必要なのはアイデアではなく財源ということです。