レコードをかけたら聞こえてきた街の声

「パンと牛乳とレコードを買う。そんなスタイルを普及させたいですね」

そう語るのは、Yショップ上総屋(かずさや)の店長、進藤康隆さん。10代の頃から30年以上にわたりレコードを集め続け、その数は1万枚以上に上る。

祖父が酒屋として開業した店を1999年にコンビニチェーンのYショップに転換し、父から引き継いだ。

レコード販売にフリマ、DJイベントも。「レコードコンビニ」が東京のど真ん中にできた理由_1
都営新宿線・浜町駅から徒歩5分ほどの場所にあるYショップ上総屋
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レコード販売にフリマ、DJイベントも。「レコードコンビニ」が東京のど真ん中にできた理由_2
店内窓側にレコードが並べられている

ある日、店のBGMとしていた有線放送をつまらないと感じ、アナログプレイヤーをつないで店内でレコードを聴き始めたことから全ては始まった。2010年頃のことだ。

すると、複数の来店客が「これレコードでかけてますよね?」と、進藤さんに声をかけた。音楽をきっかけに客との会話が増え、次第に街の人の要望が聞こえるようになる。

「クラブもないし、遊ぶところもない。浜町にあれもこれも足りないよねってことで、じゃあうちでいろいろやってみよう、と。手始めに店内にイートインスペースをつくったんです」

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店長の進藤康隆さん

窓際のため通りから丸見えだったイートインスペースをLPレコードで隠そうとディスプレイすると、「この曲、大好きなんです」「思い出のアルバムです」「販売してますか?」などと入店した通行人が声をかけてきた。

並べるレコードは、自身の好みに偏ることなく選び、季節感を出しながら毎週代えた。まるでレコード屋だ。

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初めはイートインスペースの目隠しとしてレコードを置いた 写真/進藤康隆