気持ちに寄り添い、追い詰めない
中学受験をする家庭も増え、早期から受験勉強をスタートする子も一定数いる。
しかし、子ども自身が受験勉強の目的をきちんと理解していなかったり、勉強がスムーズに進まない環境にあったりして、強いストレスを抱えた結果、依存行動に走ってしまうケースもあるという。
「我が子の受験勉強がうまくいっていないようだと感じたら、まずは子どもの話を聞いて気持ちに寄り添い、どこに問題があるのか気づいていくことが大切です。
たとえば『志望校に受かるとこんなメリットがあるよ』と、具体的な見通しを持たせてみる。子ども部屋が勉強に集中しにくい状態になっている・塾の雰囲気が合わないといった要因がありそうなら、それらの環境を整えたり変えたりしてみる。
もっとも避けるべきは、親に無理やり勉強を続けさせられて、依存行動をするほどに追い詰められ、それが子どものトラウマになってしまうこと。親子関係が悪化したり、一切勉強をしなくなってしまう…といったことにもなり得ます。
本人が依存症になりかけているような状態だったり、深いトラウマを植え付けてしまいそうだったりするのなら、たとえば中学受験なら受験そのものを再考する、志望校を変更するというような思い切った対処法も、場合によっては必要かもしれません」
依存行動には必ず理由がある
「子どもの依存行動は、本人の中でなにかがうまくいっていないサイン」だと、前田先生は考えている。
「『勉強がうまくいかずモヤモヤしている』『プレッシャーから逃避したい』など、その子が何かに依存をしたくなる理由が必ずあるはず。ただ叱って依存行動をやめさせようとしても、根本的な解決には結びつきません。
たとえばゲーム機器やスマホを没収しても、結局、他のモノや行為に依存するようになるだけということがほとんどです。
依存症には治療が必要になるため、お子さんの依存が心配な場合は早めの相談や受診をおすすめしますが、そこまでではなくとも『最近、隠れてゲームやスマホをしているようだ』『受験勉強に集中できていないのでは』と気になったときは、まずは話を聞き、我が子がどんなことにストレスを抱えているのか理解しようとする姿勢が大切だと思います」
後編では、子どもの依存行動の減らし方や付き合い方、治療法についてお聞きする。