新モデルのマジックと新OSでの進化

Appleが新たに発表したiPad(第10世代)では、これまでのホームボタンを搭載したデザインを廃止し、上位モデルと同様のフルスクリーンデザインを採用した。さらにブルー、イエロー、ピンク、シルバーのポップな4色を用意し、「選ぶ楽しさ」を提供している。

今回のiPadには、「Magic Keyboard Folio」という着脱式のキーボードとキックスタンドを備えるアクセサリが追加された。キーボードの有無にかかわらずiPadを自立させることができ、膝の上でも角度を付けてApple Pencilで書き込むこともできる。

この魔法のようなアクセサリも、教室という学びの現場に寄り添って考え抜かれたデザインだ。ペンとキーボード、講義とディスカッションなど、1つの授業の中でめまぐるしく変わる学びの場面にスムーズに対応できる設計といえる。

加えて、新しいiPadでは、カメラの位置が長方形の短い辺から、長い辺に移された。新型コロナウイルスのパンデミック以降、iPadでビデオ会議やオンライン授業に参加する機会が増え、かつキーボードと組み合わせて使う場合には横長に構えて使うことが多くなった。カメラ位置の変更に関しては、「視線が自然になる位置に移動させた」そうだ。

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2022年10月に発表された新iPad(第10世代)

そして、年内配信予定のiPadOS 16.2における新アプリ「Freeform(フリーフォーム)」も、学びの現場において意欲的だ。簡単に言えば、巨大な模造紙やホワイトボードのようなアプリで、一人で、もしくは複数の人が同時に書き込むことができる、コラボレーション向けのツールとなる。

「我々が提供したかったのは、『無限のキャンバス』です。Freeformは手書きや文字入力、写真やビデオ、ファイルなどを配置することができるコラボレーションの場で、iPadの設計思想と同様、生産性と創造性を兼ね備えた新しいアプリと言えます。

普段やっているように、グループのメンバーをすぐに共有相手に加えて一緒にコラボレーションを開始してもいいですし、教室の生徒全員を1つのFreeformに参加させて、グループごとに領域に集まって書き込む、といったスタイルも実現できます」(ボーチャーズ氏)

Freeformは、グループごとの議論においては非常に強力なツールだ。筆者もケーススタディの授業などでは、グループごとに大きめのホワイトボードを用意して、書きながらディスカッションをしてもらう。このとき、ホワイトボードに書き切れなくなり、スマートフォンで写真を撮ってから消して、議論を再開する、といったシーンを何度も見てきた。その点で、Freeformが提供する「無限のキャンバス」が教育現場で有効であることは、「体験知」として非常に理解できる。

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年内登場予定の新アプリ「Freeform」