■ようかいけむり

「ようかいけむり」は絶滅寸前⁉ 子ども時代 “当たり”に熱狂した「カードくじ」の今_8

「ああ、あったあった!」と言われる商品であろう。

何がけむりなのか、というと「カードに塗りつけられている物質を二本の指でピタピタさせると煙が発生したように見える」というおもちゃである。

要は化学反応なのだが、よく考えられたものである。開発部に化学者でもいたのだろうか。

この、火の立たないところになぜ煙が立つのか、という不思議体験と、それを怪異になぞらえたパッケージにして思い出に強く刻んでくれているという点では、最も駄菓子屋にふさわしい商品であると感じる。

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ただ非常に残念なことにこの商品は既に、生産中止されているそうだ。

それをいち早く嗅ぎつけた転売屋によって買い占めが起こり、行きつけの駄菓子屋では「1人1枚」限定のルールが敷かれていた。

そして現在、ネットの転売サイトでは信じられない金額がついている。大人の金儲けのために、楽しい遊びが子どもたちに行き渡らないとしたら、残念で仕方ない。

そのかわり『ようかいけむり』は100円ショップで類似品が買えるとか、同じ化学反応を起こせるものを手作りできるという情報もあるので、興味があればそっちで再現してもらうといいだろう。

今回も、数十年ぶりに駄菓子屋で見つけたカードを通し、様々な記憶を呼び戻すことができた。

せっかくなので入手した「なめ猫」カードを仲間たちの飲み会に持って行き、束から1枚ずつ引いてもらった。

メンバー構成は30代から40代の男女。40代はこれを「懐かしいー!」「今、こんなふうになってるんだ!」と嬌声を上げた一方、30代はそのブームを知らず「こんなのが流行ってたんだー」と驚いていた。

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ただ、いずれも、束からカードを引いて袋から出したときには、座が破顔と笑い声で満たされた。何十年経っても、カードくじをひいたときのワクワク感、そしてカードを手にしたときの花火のような喜びは同じだった。

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文・イラスト・撮影/柴山ヒデアキ
撮影協力/
「BOWWOW316」東京都足立区千住3-16  TEL03-6812-0860 営業:14-17時 火・水曜定休
「柴崎商店」東京都台東区蔵前4-31-4  TEL03-3861-6637 営業:9-17時 日曜定休※
「小森屋商店」東京都台東区蔵前3-5-8  TEL03-3866-7143 営業:9-17時 日曜定休※
※いずれも土曜は15時まで