不倫への入口は?
――初の映画出演で、いきなりW主演の1人としてスクリーンデビューを飾ることになりました、オファーが来たときの心境から教えてください。
マネージャーから、「受かったよ」と言われた時はとにかく嬉しくて。スケジュールの確認とか、いろいろ話をしたはずなんですが、嬉しすぎてその記憶は飛んじゃっています(笑)。
――その時点で、許されない禁断の愛がテーマの映画だというのは?
もちろんわかっていました。キスシーンもあるし、ベッドシーンもあるということをわかった上でオーデションを受けたので、オファーをいただいた時には、しっかりと覚悟はできあがっていました。
――実際に出来上がってきた脚本を読んだ時の感想は?
映画のタイトルが『月下香』で、キャッチが“花言葉は禁断の誘惑”ですから。正直にいうと脚本をいただく前は、結構ドロドロしたものを想像していたんです(笑)。でも、読んでみるととっても切なくて、心が締めつけられるような大人のラブストーリーで。読み終えた時にはぐっと気持ちが入り込んでいました。
――確かに“純愛”という言葉がぴったりの物語です。
そうなんですよ! “ザ・不倫”というドロドロしたドラマを期待してくださっている方には申し訳ないんですけど、純粋でピュアなものが下敷きとしてあって、その上に官能の世界が乗っかって広がっていく感じです。
――その映画の中で今回清瀬さんが演じたのは、年下の画家に惹かれていく人妻・亜美の役ですが、演じる中で特に気をつけたことがあったら教えてください。
私は結婚したこともないし不倫をした経験もなくて(笑)。性格的にも亜美さんとはちょっと違うなと感じていたので、自分から亜美さんに寄せていこうと思っていたんですけど、撮影しているうちに似ている部分が重なってきて。役を作る、役を演じるという意識から、感じたまま愛が昇華していくのを見つめている感じでした。
――初めての映画で初めての主演。現場の雰囲気はどうでしたか?
監督さん、スタッフの方も含めてみなさんものすごく優しくて。キャストの方も、「このシーンは、こうだよね」とか、「僕はこう思う」とかあちこちでそんな会話が交わされていて、私自身はその雰囲気に付いていくので精一杯でしたけど、とにかくすべてのシーンとても勉強になりました。
――その中で、特に印象に残っているエピソードは?
私の不倫相手、若き画家を演じた松井健太さんが、私が緊張しないように、とにかくいっぱい話しかけてくれたのと、旦那さん役の松本博之さんが、スクリーンの中そのままといっていいほど優しい方で。松本さんは撮影がない日だったのに、今日は寒いからとモコモコの靴下を買って現場に来てくださったんです。
――現場でも、2人の男性の間で揺れ動いた?
それはないです(笑)。揺れ動いたのは、あくまで映画の中だけの話なので。でも……役の上とはいえ、女性ってこうやって不倫をしていくのかなぁというのが、なんとなくわかった気がしました。