現場で教える「がんサバイバー」の声

がん教育は、学級担任や養護教諭だけではなく、医師などの外部講師を招き行われることも多い。

そのほか、自身ががんに罹患し「がんサバイバー」として学校で講演を行う方もいる。今回は各地の学校で講演活動を行う3名にお話をうかがった。

Aさん:ユーイング肉腫 50代
Bさん:乳がん 40代
Cさん:肺がん 70代

「がん患者は、どう接してほしいと思いますか?」全国の学校で必修化した「がん教育」で学ぶこと_01
がんを正しく恐れることの重要性を訴える授業も(日本対がん協会)
すべての画像を見る

――がんについて、子どもたちに何を伝えたいと思ってお話をされていますか。

Aさん:がんはうつるものではないし、必ず死んでしまうわけでもない。一方で誰にでもかかる可能性がある病気だということを伝えています。その上で、命を大切にしてほしいということにも触れています。

Bさん:とにかく正しい知識を知ってほしいと思ってお話しています。そのため、講演に行く学校や学年に合わせて、使用する教材の画像や言葉遣いは変えています。

――講演後、子どもたちからはどのような反応がありますか?

Bさん:「がんについて知ることができた」「すぐ死んでしまう病気というイメージが変わった」「ヘアドネーション(小児がん患者などに向けた頭髪の寄付)やレモネードスタンド(小児がん患者支援)など、自分ができるサポートをしたいと思った」などの感想をいただきます。一方で、がんは怖い病気だと思いましたという回答も毎回ありますね。

Cさん:肺がん経験者として、たばこの有害性を講演で強調しているため、親に禁煙を促す、たばこの怖さ伝える、といった感想があります。また、がんは早期発見で治る病気になってきていると説明しており、がん検診の大切さを親に伝えたいという回答もありました。

――今後、がんに対する理解をどのように広めていきたいですか。

Aさん:がんを知ること自体が、がんに備えることだという感覚を持ってほしいと願いながら、話をしていきたいと思います。

Bさん:授業では、身近な人ががんになっていることも想像しながら講演しています。また、一方的に教えるだけではなく「あなたたちにはこんな支え方ができるかもよ?」と子どものアクションにつながることを提案したりもします。

今後は1回の講演だけでなく、がん種、ステージなど、様々な状況の方の話を聞く機会が増えたらいいと思いますね。がん患者も子どもたちと同じように、いろんな人がいると知ってもらいたいです。

Cさん:日本では毎年約100万人が新たに患者となり、毎年40万近い人が亡くなっています。しかし、がん検診で早期発見できれば治る可能性は高くなります。新薬や新しい治療法も開発されていることや、子どもたちが将来がんになっても治るのだという希望も伝えていきたいです。また、医療者の研究例なども伝えていきたいですね。