嫌だと言える強さ、嫌だと言われてもへこまない強さ

――これまでは、学校で教わらなかったために、知らないうちにデートDVを受けていたということもあったと思います。

「子どもたちの中には、現時点では恋人がいなくても、高校生になったら好きな人と付き合ってみたいという憧れを抱いている子が多いです。

そのような子どもたちにデートDVの話をすると『でも、好きだったらいいんじゃないのかな』と反応が返ってくることも…。『L“OV”EとL“DV”Eは勘違いしやすい』んです。

私は、将来子どもたちに恋人ができたら、素敵なお付き合いをしてほしいと願っています。だからこそ、性暴力やデートDVとは何かということを知っていてほしいと思いますね」

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デートDVについて、学級副担任とロールプレイを行い指導(中世古先生提供)
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――「生命(いのち)の安全教育」の指導の中で、とくに意識されていることはなんですか?

「指導では、嫌なことをされたらはっきりと『嫌だ』と伝えることが大事と伝えると同時に、『嫌だ』と言われたときにへこまない気持ちをもつことも重要だと伝えています。そこでへこんでいたらお互いに本音を伝えられず、いい関係なんてつくれませんよね。

『好きだから断れない』ではなく、好きだからこそ『お互いに心地いい距離感』の取り方や、それを伝え合える心の強さを学んでほしいと思っています」

子どもたちは、性について正しい知識を知りたがっている

――性教育をスタートしてから、生徒たちの性に関する捉え方や感じ方に変化はありましたか?

「子どもたちに伝えたいことは、中学校3年間で計画的に伝えるようにしています。そうした積み重ねもあり、3年生になると、性の悩みを私にオープンに話してくれる子もいます。

1年生のころから『悩みがあったらとにかく周りの大人に相談してね』『保健室にいつでも話にきてね』と言っていることが伝わっているのかなと思いますね。3年生の中には、性教育をしている私を『かっこいい』と言ってくれる子もいますよ。

卒業生たちが、進学先の高校で中学時代に学んだ性教育のことについて新しくできた友達に話すことがあるそうです。すると、それを聞いた友達から『そういうことを勉強できたの、いいな』と言われることもあるのだそう。

これが子どもたちの本音であり、子どもたちは『性や交際について正しい知識を知りたい』と思っているんですよね。

性についての話をタブー視する風潮がまだまだありますが、正しい知識を得るためにも、改めて性教育の授業は重要だと感じます」