新規ユーザー向け「新商品」がすべてヒット

なかでも新規ユーザー拡大を目標に、全社をあげて注力した「新商品」シリーズが全てヒットしたのが、過去最高売上を叩き出した大きな要因になっているという。

「新規ユーザーとは、直近1年くらいハーゲンダッツから遠ざかっているユーザーのことです。再びハーゲンダッツに魅力を感じて購入しようと思ってもらうためには、見た目でそそられる美味しそう感はもとより季節感や安心感、ワクワク感が伝わるような商品を開発することが大事になってきます。こうした意識のもと、ユーザーに寄り添った商品を季節ごとに販売し、話題創出や需要喚起を図ってきました」

ハーゲンダッツは毎月1~2品ほどの新商品を出しているというが、とりわけ全社が一体となって力を注ぐシリーズ商品は、販売計画上においても重要となってくるわけだ。

2021年3月に発売した「Decorations(デコレーションズ)」の2品は、ザクザクやパリパリとした食感とアイスクリームが織り成すぜいたくな味わいが好評を博し、GW時期の4月に出した「バニラ&クランチショコラ」も特別感や贅沢感を楽しめるフレーバーとして人気を博したという。

過去最高売上528億円を記録。「ハーゲンダッツ」が見せた価値観の変化への対応力_3
“Decorations”シリーズの定番「アーモンドキャラメルクッキー」と新作「抹茶チョコレートクッキー」

「2019年からパッケージを商品を並べた際の色鮮やかさや華やかさ、そしてフレーバーを食べた時の体験や価値、雰囲気が伝わるようなビジュアルに刷新していました。こうした下地がありつつ、営業が小売・流通チェーンと店頭づくりについて交渉を重ね、新商品を出したタイミングでお客様に手に取ってもらえやすいように販促を工夫したりと、地道な努力が実ったと考えています。

また、商品開発についても、時流やトレンドを抑えつつ、ハーゲンダッツらしい高級感や上質なアイスクリームとは何かを意識し、“手の届く贅沢感”が味わえる商品として『Decorations』を投入したところ、家でのライフスタイルを充実させるプチ贅沢志向ニーズを捉えることができました」