「インド映画ってエモーショナルなんです。表情が思いっきり豊かで喜怒哀楽が激しくて。開放感があって、自分も感情を出せるようになるというか」

そのエモーションでひとつの作品を日本に送り出せたわけだが、これは画期的な出来事かもしれない。

「ほかの人も、異業種からでも『推し』の映画を公開してくれたら、一般の配給会社が買わないような作品が観られるようになるじゃないですか」

本当に大好きな作品を世に送り出す、格好の「前例」となるかもしれない。

稲垣夫妻が情熱を傾けた本作、富久さんは「とにかく元気をもらえる映画です」と語る。観ればきっと、その情熱が伝わってくるだろう。

取材・撮影・文/室橋裕和