そして2018年のことだ。紀子さんは東京国際映画祭に出品されていた『世界はリズムで満ちている』を観る。映画にほとばしる情熱や、ムリダンガムの豊かなリズムだけでなく、その背景としてカースト問題にも切り込み、なおかつ明快でわかりやすいインド映画ならではのまっすぐさにも魅了された。
しかし、映画祭で買い手はつかなかった。
それでもどうにか日本での上映を、とふたりは「推し活」を続けていたのだが、その一環のオンラインイベントになんと本作品のラージーヴ・メーナン監督が飛び入り参加。これを機に、日本での配給権を買い取る話が進んでいった。
「権利を買うだけで、配給は誰かに任せてもよかったのですが」(紀子さん)
すでにふたりのまわりにはインドの専門家が揃っていた。あの人にこんな解説を頼める、インド好きなデザイナーがいる、エスニック料理ファンのイラストレーターがいる……そんな人々の情熱を結集し、自分たちで配給を手がけることにした。
「追っかけ人生の集大成です」
と紀子さんは笑う。それに、インドで世話になった人々への恩返しでもある。
