コンドームは“性交道具”ではなく"医療機器"である

消費者が店頭でコンドームを選ぶときにかける時間は、わずか6秒。そのためグラマラスバタフライはキャッチコピーなどを一切廃して「化粧品のパッケージのようなオシャレさ」を前面に出したかわいいデザインに特化した。これまでコンドームを買う基準が「薄さ」だったのに対し、この商品は女性がつい手に取ってしまう「オシャレさ」で勝負に出たのだった。

なお女子高生が現在のデザインを選んだ理由は「なんとなく」「かわいいから」など抽象的だったこともあり、井上さんたちは選ばれた理由がはっきりわからず、本当に売れるのかどうか半信半疑だったという。

それでも女子高生にヒアリングを行ってできたデザインや機能性のおかげで、グラマラスバタフライは15年間も女性に愛されてきた。そして、薬局などでのPOS調査(物品販売の売上実績を単品単位で集計する手法)によると、現在最も女性に選ばれている商品にまでなったという。

女性の気持ちを第一に考えて開発されたこのブランドが目指すのは「初めて手に触れるコンドームがグラマラスバタフライであってほしい」ということ。ジェクスは性教育に力を入れており、学校や保健所などにコンドームを提供したり、性教育セミナーやLGBTQイベントに参加したりなど、積極的に活動を行なっている。

「コンドームは決していやらしいものではなく、"医療機器"であり、正しい知識で使用する必要がある商品です。ですが、性に関する情報は教育とアダルトに二極化していてなかなか必要な情報に辿り着けません。そこで私たちはコンドームを使用してハッピーなラブを促進するため『ラブ活』と称して啓蒙活動を行い、コンドームメーカーという立場から実践的な情報の発信に取り組んでいます」

男性は薄さにこだわるけど女性は…女子高生100人の声をもとに生まれた女性人気№1コンドームとは?_2
2012年に提唱した「ラブ活」パネル

現在はスマホツールやインターネットの普及で性の情報にアクセスがしやすくなっている反面、間違った情報や知識なども入り混ざっているのが現状だ。そして、若い女性は男性がコンドームをつけずに性行為するのを断れないことも多いのだとか。
また近年では男性の草食化もあって性の低年齢化は落ち着いてきたが、一方で「性の二極化」が進んでいるという。性行経験の早い人はとても早いが、遅い人はとても遅いのが、近年の若年層の特徴だ。