見た目のインパクトに引っ張られる勘違い

ここまで、どちらがどちらか分からない例をたくさん見てきたが、それとは全く違う理由でよく間違われるコンビがある。鬼越トマホークである。

鬼越トマホークは「坂井良多」と「金ちゃん」のコンビ。スキンヘッドで髭の方が坂井で、パーマで黒スーツの方が金ちゃんである。しかし逆だと勘違いしている人がものすごく多い。本人たちもラジオなどで嘆いているのでよほど間違えられるのだろう。

これはおそらく「インパクトの強い外見をしている方が、インパクトの強い名前に違いない」という思い込みから来ている。

今年度キングオブコントの決勝にも進出したコットン(旧名ラフレクラン)は西村ときょんのコンビだが、どちらがきょん?と聞かれたら、コットンを知らない人でも正しく指さすことだろう。

トリオだが、ネルソンズの3人の写真を出して和田まんじゅうはどれ?と聞いても多分ほとんどの人が答えられる。

そういう法則から考えて、まさか金ちゃんがあちらとは思わないのだ。難しい。

なすなかにし、タカアンドトシ…… アナタも間違えている? コンビ芸人「どっちがどっち」問題_1
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「名前だけでも覚えて帰ってください」の先へ

漫才コンビがよく言う「名前だけでも覚えて帰ってください」。もちろんコンビ名を覚えてもらえれば、一旦のところそれで十分なのだろうが、せっかく芸の世界に入ったなら個人としても覚えてもらいたいもの。

しかし、これまで散々考えてきたように、ある一定のパターンに陥ると、個人として世間から正しく認識されにくくなる。

それが主因かはわからないが、「二人の名前を並べたコンビ名」は年々減っている気がする。
この文章でまだ触れていない有名どころは、テツandトモ、宮下草薙、オダウエダくらいだろうか。

テツandトモについてはそもそもジャージの色も違うし、役割も全然違う。飛び跳ねるやつと、ギターを持って歌うやつだ。しかし検索しようとすると「テツandトモ どっち」は今日も提案される。

赤い方がテツ、青い方がトモである。
今日はそれだけでも覚えて帰ってください。

文/前川ヤスタカ イラスト/Rica 編集協力/萩原圭太