4年生の走りが勝負の命運をわける
箱根予選会を突破すれば、本戦へとチームは向かって行く事になる。夏合宿の情報が大学間で行きかい、SNSなどでチーム情報などが容易に入ってくる時代になったが、「今年は、よりチームが見えない」と大後監督は言う。
――来年の箱根駅伝は、どんな戦いになるのでしょうか。
「正直、予想がつかないですね。今年もコロナの影響で、どこの大学も苦しんでいます。出遅れた選手については、工夫して秋の準備をさせていますが、大学によっては合宿ができないという情報も入ってきています。
こういう時は、最終的に走力だけではなく、結束力とかが要求されるのではないでしょうか。そこは他の大学に負けないようにしていきたい。もしかすると、その要素が最後の勝敗を分けるような気がします」
――戦力的に大きなカギを握るのは、何でしょうか。
「4年生ですね。最終学年の力は凄いなって本当に感じます。3年生まで鳴かず飛ばずだった選手が、4年生になって突然頭角を現すようになる。今までもそんな事を体現した多くの4年生がいました。集中力が凄い。夏から信じられない頑張りを見せて、箱根を担う。最後の意地というか、最後だっていう気持ちがそうさせるのかなと思います」
――目標はシード権になるのでしょうか。
「シード権確保です。毎回、箱根に出る度にシード権と言っていますが、昨年の12位でどこまでレベルを上げなければいけないのか、選手は体感してくれていると思います。そこに挑戦していきたいと思っています」
チーム内改革を進め、徐々に成果が見え始めてきた神奈川大学。国学大の前田康弘監督を始め今の若い監督たちが選手だった頃、神奈川大をどう倒すのかに集中していた時のように、「打倒・神奈川」と他大学に呼ばれるチームに進化できるか――。
そのための脚作りが今、静かに進んでいる。
「全体主義」から「個人主義」へ。箱根駅伝に向け神奈川大学が断行した大改革の裏側 はこちら
取材・文/佐藤俊