美しき努力家が切り拓いてきたキャリア

キューバの演劇学校を卒業する寸前の18歳で、アナは俳優としての可能性を広げるためにスペインに移り住みます。移民祖父母の祖国の国籍を取得できるキューバのシステムを利用し、その故郷であるスペイン国籍を手にしたといいます(キューバと二重国籍)。無我夢中で8年間仕事をする中で、ティーン向けドラマに出演して人気を博し、『灼熱の肌』(2009)など映画にも出演。スペインでは主役級の俳優として地位を確立しました。ところが次なるチャレンジを求めてアメリカに移住。キャリアをゼロにして再スタートを切ったのです。

ロサンゼルスに移ったのが2014年。最初は英語が片言しか話せず、役をもらうと英語のセリフを丸暗記して撮影に臨んだそうです。その後も、「スペイン語のアクセントがある限られた役では終わりたくない」との思いから、努力に努力を重ねたそう。その結果が、『ブロンド』でマリリン・モンロー役に抜擢される、今の彼女のキャリアに反映されています。

7月に公開された『グレイマン』(2022)では、『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』で共演したクリス・エヴァンス、『ブレードランナー2049』(2017)で共演したライアン・ゴスリングと再共演。もちろん、『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』のダニエル・クレイグとは『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』(2021)でも再会しています。

Netflix初の18禁映画『ブロンド』でマリリン・モンローを演じる、アナ・デ・アルマスのど根性人生_6
ダニエル・クレイグと。おどけるアナがキュート!
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アナに魅了されたファンの中には、ダニエル・クレイグの後をアナが継ぐべきだという声さえ上がっているほど。でもこれに関してはダニエルもアナも「ジェームズ・ボンドは男の役」とはっきり言っています。

『ブロンド』の後は、またまたクリス・エヴァンスと共演の『Ghosted』(2023年公開予定)。『ロケットマン』(2019)のデクスター・フレッチャーが監督する、ロマンチック・アクション・アドベンチャーだそうです。

一流の仲間に囲まれて自分を磨くアナ・デ・アルマス。キューバで生まれ育ったことに誇りを持ち、周りの雑音を跳ねのけるほどの努力によって、着実にハリウッドでのキャリアを築いています。自分の選んだ道を迷わず進む美しき努力家の可能性は、これからも無限に広がっていくはずです。