青春時代を過ごしたアメリカ
――アメリカには何年くらいいらっしゃったのですか?
青春の思い出は全部アメリカで、4年間過ごしました。
――楽しかった?
小学生の時は、すごい人見知りで。いつも誰かの後ろに隠れているような子どもだったんですが、その状態でアメリカに行ったので、最初は日本に帰りたいとばかり思っていましたね。
――ちょっと想像できません(笑)。
ですよね(笑)。でも本当なんです。
――変わったきっかけは?
特別これ!というのはないのですが…周りがみんな自分の意見を主張する中、このままでは私ひとりだけ取り残されちゃうぞという恐怖心に襲われて(苦笑)。なんとかしなくちゃという。
――人見知りしている場合じゃないぞと?
そうです。最初は必死すぎて自分が変わっていることに気づかなかったのですが、ある時授業で、どんどん発言している自分を見つけて。日本にいた頃は、こんな性格ではなかったのにって(笑)。
――変わろうとして変わった!? それとも、自然に変わっていった?
両方ですね。このままではいけないとどこかで思っていて、意識して変えていったというのもありますし、周りのみんながそうだから、自分がそうなっていったという無意識の部分もあるような気がします。
――言葉の問題は?
それも大きかったですね。最初の1年くらいは、私が英語ができないのを知っているのでゆっくり話してあげようとか、こちらから話しかけてあげようとか、してくれていました。みんな、優しいので。ただ、1年が経ち、2年が過ぎる頃には、そういう気持ちもどんどん薄れていくじゃないですか。
――そう……ですね。おっしゃる通りだと思います。
それではいつまで経っても、本当の友達はできないということ。なんとかしなくちゃと思って、学校に行く前に“明日この子に会ったら、こんな質問をしよう”と思いついた質問を何個かノートに書き出して。毎日それを実践していました。
――すごく真面目ですね!
もうとにかく必死でした。必死すぎて1年目の記憶はほとんどないですから。
――話せるようになった後は、日本に帰ってきたくなかった?
それが、日本が大好きだったので、帰れると知った時は嬉しくて。このままアメリカにいたいと思ったのは、最後の最後…帰る直前になってからです。理想は、日本で仕事をして、アメリカにも家があって自由に行き来する生活ですが……今の私では難しいですね(笑)。
――振り返って、アメリカでの4年は?
とにかく濃い4年間でした。あの4年間がなかったら今の自分はいない――心の底からそう思います。人生の第1ターニングポイントでした。