地域によって異なる進学状況
さて、最後にここまで説明してきた進学流動を一枚の図で見てみよう。
黒い矢印は都道府県間の差引進学流動を示し、色分けは流入と流出の比を表す。1以上であれば流入のほうが多く(オレンジ)、1以下であれば流出のほうが多い(水色)。ここまで見てきたように、進学流動はごく一部の都府県に集中している。
進学における中心性はおおよそそれぞれの人口規模に比例するが、関西の中心が大阪ではなく京都であったり、石川県や滋賀県が流入超過になっていたりと、ところどころ大学特有の事情が垣間見える。
今回はデータの都合上、都道府県単位でしか流動を見ることができなかった。しかし、実際はそれぞれの都道府県の中にも中心都市とそれ以外での格差が存在する。また、大学進学率自体の地域差も大きい。こうした格差は誰しもうっすらと感じることはあると思うが、具体的なデータから地図を描いてみると新たに気付くことも多い。
あなたの同級生はどこの大学に行っただろうか。
あなたの街の大学生はどこから来たのだろうか。
地図に描かれた一つ一つの矢印には、新たな生活を控えた新入生の不安と期待が詰まっていることだろう。
図版 / 重永瞬 (文部科学省「令和3年度学校基本調査」に基づいて作成)