愚かな女か、聡明な賢婦か
「私」を捨てて、夫とともにつくった鎌倉幕府を守り抜いた立派な女性だと評価する人もいる。その一方で実父の北条時政、弟の義時(よしとき)の陰謀に翻弄されてしまった愚かな女と言う人もいる。
だけど僕は、彼女が非常に聡明な人間だったことは間違いないと思う。実際問題として頼朝の没後、彼女が御家人たちの尊敬を集め、そして次男の三代将軍実朝が亡くなった後、事実上の将軍として機能していたことは、今では定説になっています。
夫とともにつくったものを守るための政権争いで息子を失ってしまった。しかし、その悲劇に負けず、自分の役割を全うした。そんなすごい人だったと思います。