ブロックチェーンでコミュニティを構築するメリット
「みんなのネバーランド」の誕生は、人づてに紹介された「約束のネバーランド」の担当編集者・杉田卓との出会いがきっかけだった。「作品が終わっても、ファンが集える場所ができたらいい」。2人の考えは一致し、Gaudiy Fanlinkで「みんなのネバーランド」を構築することになった。
「みんなのネバーランド」には、1万人を超えるファンたちが登録している。基本機能は、ファン同士の交流をサポートするものだ。コメントや画像のアップロードが可能な点は、SNSと大きく変わりはない。しかしブロックチェーンでコミュニティを構築しているため、NFTを活用してイラスト・動画などのデジタルコンテンツを特典として提供できるようになっている。
「例えば映画の告知などに貢献すると、杉田さんのコメントが音声で聴けたり、世に出ていないネームなどが見れたりします。ファンからすると、これはたまりません」(石川氏)
「みんなのネバーランド」の特徴は、これだけではない。Gaudiy Fanlinkで構築したコミュニティはバーティカルに閉じることができる。これはコミュニティを管理・運営する側にとって、大きなメリットがある。
「例えば、あるコミュニティで2次創作が活発になったとします。もしこれがオープンなSNSで始まった場合、著作権を持つ作家さんや企業が意図しない形で創作されてもすぐに対応できないかもしれません。しかし、ブロックチェーンを用いたコミュニティであれば、誰が創作を行ったかブロックチェーンに記録され、管理も容易にできます」
一見すると、管理下に置かれることで創作がやりづらくなることも懸念される。しかし、石川氏によれば「逆にルールなどが整備されて管理されている方が、安心して2次創作ができるという考えを持つファンもいる」という。
またコミュニティをブロックチェーンを用いてバーティカルにするメリットはこれだけではない。SNSのようなオープンな空間とは異なる「居心地の良さ」を、ファンに提供できるという。
* 後編へ続く
撮影/遠藤素子