コミュニティを「バーティカル」にする利点
ブロックチェーンを活用して、コミュニティをバーティカルに閉じるメリットについて、石川氏はこう説明する。
「居心地の良さが、オープンなSNSで形成されているコミュニティに比べてとても大きいんです」
SNSは、基本的に誰もが自由に参加して発信できる。これは社会に対してポジティブな影響を与えた一方で、課題も残した。その1つが他者と比較することによって、自己肯定感を落とす人が増えてしまったことだ。
「例えば2次創作の絵にしても、SNSで発信されているのはレベルの高いものがほとんどです。そのレベルに到達していないほとんどの人は、気を落としてしまうでしょう。私からするとSNSの世界は全世界の強者どもが集うメジャーリーグのような世界であり、そこで居心地の良さを感じられる人は、ほんの一握りではないでしょうか」(石川氏)
だからこそ、バーティカルなコミュニティの価値が高まってくる。例えば、「みんなのネバーランド」では、絵の巧拙にかかわらず讃える文化があるという。
「井の中の蛙って、ネガティブな意味に捉えられるかもしれません。でも、井の中の蛙でいられることで、多くの人が救われることもあるんだと感じますし、そういうのは必要だと思います」(石川氏)
また、「みんなのネバーランド」の中では、こんな書き込みもあったという。
「『自殺しようと考えていたけど、思いとどまることができました』とコメントした人がいたんです。作品とそれを愛する人々の想いが、1人の命を救ったと思うと、コミュニティを作ってよかったと感じずにはいられません」(石川氏)